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第十一節 治療をするか迷ったら。

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その人の年齢、価値観、性格、何を重要視するのか、病状など、多様な要因によって、その人にとってのベストな答えというのは当然変わってきます。

未来がわからないからこそ、この方法が絶対に良い、というように断言することも提案することもできないと言えます。

未来の結果によっても、答え(正解)は変わります。

正解かどうかは、選択した時に決まるものではなく、選択した後の人生で決まっていくものなのかもしれません。

特に、治すのが難しい病気においては、本当にどうなるかわからないからこそ、自分にとってのベストな答えは、自分で導き出さなければならないとも言えます。

もし、正解がわかっているのであれば、人類はその病気を克服しているはずです。

現状で、治すことが難しいということは、まだ誰も正解を見つけることができていない、ということではないでしょうか。

逆に言えば、個人個人が納得して出した答えというのは、そのどれもが正解である可能性を秘めているとも言えます。

それは、まるで人間の人生の様ではないでしょうか。

人それぞれ様々な人生を送っていますが、自分から見れば他人の人生が自分よりも正解と思える時もあれば、間違っていると思ってしまうこともあるかもしれません。

しかし、自分とは違う誰かの人生というのは、間違っているのでしょうか。

間違っているというよりも、ただ自分の考え方と違っているだけとも言えます。

その人が納得しているのであれば、他人が間違いだと思ったとしても、その人の人生は正解ではないでしょうか。

つまり、自分自身が納得して出した答えが、正解と言えるのかもしれません。

自分の選んだ道の先で、病気を治せずに後悔することもあるかもしれませんが、その度に自分で考え前に進んでいかなければならないのではないでしょうか。

今の時点で良いと思う決断をし、その後のことは状況に応じて臨機応変に対応していく。

ただし、考えすぎるのも、あまり良くありません。

考えれば考えるほど思い切った決断ができなくなるし、長く思考するほどストレスにもなります。

治療するにしても、病状が進む前にした方がいいし、治療しないにしても、決断するのに疲れてストレスで体力を消耗しない方がいい。

いずれにしても、方向性の決断は早い方がいいと言えます。

ただ、文章で書くのは簡単ですが、やはり自分の命を懸けた決断をするというのは難しいものです。

でも、決断をしないと病気の巧妙な罠にはまってしまうとも言えます。

このように、未来の不安を悩み考えていること自体がストレスとなり、生命力を低下させ、病気の進行を早めていきます。

どうなるかはわからないけれども、自分の判断を信じて、胸を張って前向きに歩いていくべきではないでしょうか。

それでも、人間は誰もが失敗したくないし、できるだけ失敗しない方法があるのであれば、それを知りたいと思うものです。

しかし、失敗しないことが保証された方法が無いからこそ、治すのが難しい病気というのは、治すのが難しいと言えます。

では、何も言えることがないのかというと、そうでもありません。




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