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睡眠 ー 危険が無いから眠れる。

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睡眠という項目において、現代人と自然界とのズレとは一体何でしょうか。

まず考えられるのは、睡眠時間の不足です。

忙しい現代人において、十分な睡眠時間を確保できていない場合、その状況を改善できるかできないかは別として、対策しなければならないことは明確であると言えます。

その他にも、寝る前にコーヒーを飲んだり、一日中ほとんど動かず疲れたりしていないから眠れないということなども同様に、自分で原因がわかっている場合は、対策をとることができると言えます。

問題なのは、十分な睡眠時間を確保しているにもかかわらず、なかなか眠ることができずに、結局、睡眠時間が短くなったり…、長時間眠れずに、深夜に起きてしまったり…、しっかりと睡眠をとっているはずなのに疲れが取れなかったり…、悪夢を見てしまう…、などの状況に陥っている人ではないでしょうか。

このような睡眠障害は、なぜ起こってしまうのでしょうか。

そもそも眠るということが、どういうことなのかを考え直す必要性があるのかもしれません。

現状において何らかの睡眠障害があるという人でも、生まれながらにして眠れない、という人は少ないのではないでしょうか。

ということは、何かしらの原因があるからこそ、睡眠が妨げられていると言えます。

その原因を考える上でも、やはり、自然界での動物を参考にして解決のヒントを得るのが良いのではないでしょうか。

そもそも、自然界の動物において、眠れないということがあるのでしょうか。

動物の多くが健康体であることを考えると、十分な睡眠をとれていると言えます。

しかし、睡眠ができない状況というのは、自然界においても無いことは無いとも言えます。

例えば、夜中に眠る動物であっても、天敵に寝込みを襲われた場合はどうでしょうか。

夜は寝る時間だからと言っても、襲われて逃げている最中に寝るような動物はいないのではないでしょうか。

もし寝るとしたら、天敵から遠く離れ、危険な状況が回避され、自分の身が安全であると感じた時に寝るのではないでしょうか。

つまり、自然界において眠ることができない状況というのは、身の危険を感じている時と言えます。

危険な状況下において眠ることは死に直結するため、眠れないのかもしれません。

動物が眠るためには、眠っても安全であるという、リラックスできる状況が必要であるとも言えます。



人間のカラダには、2つのモードがあると考えることができます。

①日中のアクティブモード(瞬間的に動くことのできる戦闘態勢モード)と、②睡眠時のスリープモード(眠りにつき体力を回復するためのモード)。

これら2つのモードは、必要に応じて自律神経によって切り替えを行っています。

自律神経には交感神経と副交感神経があると言われます。

日中の動作時のように何か活動を行っている時は、交感神経に切り替わり、逆に眠る時のような鎮静状態時は副交感神経に切り替わります。

もし、眠っていても危険を察知すれば、その危険をすぐに回避するために交感神経に切り替わりアクティブモード(戦闘態勢)に入ることができます。

これは、敵に寝込みを襲われても、すぐに対応できるように発達した防衛システムとも言えます。

危険リスクが存在すると本能的に戦闘モードになります。

当然、戦闘モードで眠ることはできず、危険が回避され警戒態勢が解除されてから眠ることができるとも言えます。

このような自律神経の切り替えが上手くいっていないことが睡眠障害の理由としてよく説明されています。

難しい言葉を使えば自律神経になりますが、簡単に言えば、何か身の危険を感じリラックスできていないから眠れない、ということではないでしょうか。

これを現代人に置き換えて考えてみると、どうなるでしょうか。

現代人が眠りにつく時は、普通は安全な部屋の中にいるため、外敵に襲われるという自然界の危険リスクは存在していないはずです。

だから、普通は、ぐっすりと眠ることができるはずです。

にもかかわらず眠れないということは、スリープモードになかなか切り替わらずに、戦闘モードが維持されているとも言えます。

なぜ、うまく眠れない人のカラダは、身の危険を感じ戦闘モード(緊張状態)を維持し続けているのでしょうか。

眠れない現代人の抱えている身の危険とは一体何でしょうか。

それがわかれば、なぜ、現代人が睡眠障害に陥っているのかのヒントが見えてくるのかもしれません。




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