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第一節 いかにして戦わずに勝つか。

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戦いにおいて、最も大切なことは何でしょうか。

例えば、戦争に行って勝利を収めたとしても、片腕や片足を失って帰って来たとしたら…、それは本当に勝って良かったと言えるのでしょうか。

勝つ事は大事なことですが、それ以上に、大きく負けない事も大事なことです。

戦って、取り返しのつかない負傷をしたら意味がない。

また、すでに負傷しているのに、何としても勝たなければならないからと言って、負傷した体で戦場に行っていたら、当然そんな状態では勝てるわけがない。

目先の勝利にこだわり、自身の状況を見失い、勝つ事を急いだら逆に危ない、と言えます。

治療(副作用の大きな薬や、体の一部を切除するような手術など)によって、体への負担が大きければ大きいほど、カラダは弱ってしまいます。

それによって、逆に病気に負けやすくなることもあります。

また、体の一部を切除すれば、その後の生活は一変してしまう事もあります。

以前との生活とのギャップにより、体をいじったこと自体がストレスとなれば、治療で体も弱っている上に精神的にも弱れば、さらに病気を再発しやすくなる可能性も高くなります。

自身の状況を理解せずに何度も戦いに挑むのは、死ぬために戦場に行くようなものでもあります。

また、戦いは勝利を収めたから終わりではなく、勝った後のことも考えなければならないのではないでしょうか。

できるだけ体を傷つけず、体力を消耗しない戦い方で勝たなければならないと言えます。

病気との戦い方は、大きく分ければ2つになります。

①治療をするか、②生活習慣を改善するか。

治療(薬や手術など)は体力を消耗する。

逆に、生活習慣の改善は体力を増強する。

つまり、できるだけ体への負担の大きな治療をしない戦い方(生活習慣の改善)がベストであるとも言えます。

もちろん、敵の勢いがあまりに大きい時は、爆弾を投下(治療)して、その勢いを一時的に止めなければなりません。

しかし、やりすぎれば同じ戦場にいる自身も被害を受けることになります。

戦い方にも様々あります。

戦わずして勝利を収めるという方法もあります。

相手が弱る(自滅)するのを待つのも一つの方法です。

わざわざ自身の体力を削らなければ、必ず戦いに勝てないというわけでもありません。

いかにして、体を傷つけずに病気を治すのかが、病気を治すという戦略において重要なことではないでしょうか。

また、何度戦いを挑んでも負けが続くことがあります。

もちろん、人によって能力の違いや、敵の勢力の違いがあるため、戦況によっては負けてしまう事自体は仕方のないことなのかもしれません。

しかし、なぜ負けてしまうのか、ということを考えて対処していかないと、いつまでも勝利を収めることはできないのかもしれません。

敵を倒すために必要な戦力が不足しているのであれば、兵力を増強してから敵に挑むべきではないでしょうか。

戦いで大きく負傷したのであれば、一度攻撃を止め、態勢を整えてから再び敵に挑むべきではないでしょうか。

場合によっては、攻撃を繰り返しても勝てないのであれば、方針を大きく変える必要性もあるのではないでしょうか。

病気の治療において言えば、ただ治療(攻撃)を延々とするだけでは病気には勝てないのかもしれません。




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