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カラダをいじればいじるほど問題が起きる。

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薬とは病気の症状や進行を一時的に止めるためのものです。

その基本原理は、体の秩序に変化を与えることによって、目的とする効果を得ようとするものです。

与えた変化が目的とする変化になることもあれば、一連の変化から予期せぬ別の変化(薬の副作用)が派生してしまう事もあります。

良い結果が得られないからと言って、薬の量を増やせば副作用が増えてしまうこともあります。

また、様々な症状を押さえようとして、薬の種類を増やすほど、その薬同士の相互作用により副作用が増幅されるということもあります。

薬の副作用は、眠気や吐き気といった直接的なものだけでなく、精神的ストレスなどの間接的なものも含みます。

例えば、副作用の大きな薬を長期的に投与しなければならない場合、患者は、多かれ少なかれ気分を害した状態を、毎日、長期的に耐え続けることになります。

病気を治すためには、辛くても我慢しなければならないのではないか…。

何が問題なのか…、と思う人もいるかもしれません。

ですが、あくまでも、病気を治す主体は、カラダそのものであり、そのカラダがストレスで弱れば、逆に病気は治りにくくなっていきます。

病気を治すために副作用の大きな薬であっても投与するわけですが、すべての人に効果があるわけではなく、ほんの数パーセントの人にしか効果が無いということはよくあることです。

その理由は、薬によってもたらされたストレスによって、体が弱ったことが原因である可能性も否定することはできないとも言えます。

薬が効いていないから治らないというよりは、薬の副作用が効きすぎてカラダが弱るから治らないということもあるのかもしれません。



投薬と同じように、手術も病気を治すためにしていることのはずなのに、患者に大きなストレスを与えてしまう場合もあります。

例えば、体の一部(胃や腸など)を切除するような場合、それにより生活水準が大きく低下してしまうと、その変化(ギャップ)に対してストレスを受けることになります。

体の一部を切除しても時間とともにストレスに対して耐性ができたり、日常生活の不憫さも気にならなくなったりする人もいますが、すべての人が一生続くようなストレスを受け入れることができるわけではありません。

人によっては術後の経過が悪く、病気の再発を引き起こしてしまう事は少なくありません。

経過が悪い理由が、病気のせいにされることがありますが、手術をしたこと自体の影響(術後の多様なストレス)が、病状悪化の原因になっている可能性も完全に否定することはできないとも言えます。

体の秩序を変えれば変えるほど、体に物理的な変化を強制的に与えるほど、何かしらの問題が生じることは避けることができません。

与えた変化が大きければ大きいほど、変化は別の変化を派生させ、様々な予期せぬ変化が絡み合い、どんどん複雑さを増していきます。

人の手でカラダをいじればいじるほど、問題は複雑になり、やがて人間の手ではコントロールできなくなっていきます。




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