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薬は様々なリスクを伴う。

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先にも述べたように、病気を治そうとするカラダの働きを止めてしまう事によって、病気が治るのが遅くなる、というのも薬の副作用の一つと言えます。

しかし、一般的に薬の副作用というのは、カラダに対する好ましくない悪影響を意味する言葉として認識されています。

副作用と言えば、抗がん剤のような強い薬をイメージする人も多いのではないでしょうか。

一般的な薬であれば、副作用はあるかもしれないけれども、それほど気にすることではない、と考えている人もいるかもしれません。

しかし、風邪薬のような市販薬であってもアナフィラキシーショック、肝機能障害、スティーブンス・ジョンソン症候群等の重篤な症例や死亡に至る症例も報告されています。

一般医薬品による副作用報告(副作用症例数)は、毎年コンスタントにある程度の数が報告されています。

その中には、死亡するケースも存在します(1)

ほとんどの人は一般医薬品を飲んだとしても重篤な副作用は起こらないけれども、状況によっては非常にシビアな問題が起こることもあります。

そして、自分がその副作用を被るかもしれない可能性というのは、ゼロではないということを認識しておくことは大切なことではないでしょうか。



薬で死亡するというのは、薬の直接的な副作用で死ぬだけでなく、間接的に死ぬこともあります。

例えば、風邪薬を飲んで乗り物を運転中に、副作用により眠気が引き起こされた場合、運転操作を誤り、事故を起こし死んでしまう事もあります。

そして、高齢になるほど薬のリスクというのは、だんだんと大きくなっていきます。

年齢とともに体は変化し、薬は体に溜まりやすくなります。

特に高齢者では、薬を分解したり排泄したりする肝臓や腎臓の機能などが低下していくため、薬が体に残りやすくなり、強く効きすぎたり、副作用が現れやすくなったりもします。

また、高齢者では複数の病気の治療により、多種類の薬を服用することが多くなり、同系統の薬の重複や飲み合わせ(薬物相互作用)による副作用も起こりやすくなります。

それから、高齢者ほど薬が本来の役目を果たすことができないこともあります。

例えば、高齢者がワクチンを打つと、逆に風邪を引いて体調を崩してしまう事があります。

本来、ワクチンは、弱めた病原体を接種させることで免疫を獲得させようとするものですが、高齢者で免疫が弱っている場合は、弱めた病原体(接種させたワクチン)にさえ負けてしまう事があります。

薬によって有益な状況を作ろうとしているはずが、状況によっては、逆に不利益を被ることもあります。




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