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病気になる最大の理由

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人間社会と自然界との大きなズレとして最後に挙げられるのがストレスです。

ただし、ストレスは、自然界にも存在するものです。

例えば、暑い寒い、お腹が減った、怪我をして痛い、外敵に襲われる…など。

このようなストレスというのは、一時的なストレス(急性ストレス)とも言えます。

寒ければ暖かい場所に移動すれば良いし、お腹が減れば食料を食べればストレスは無くなります。

怪我をしたとしても致命的なものでなければ自然治癒するため、ずっと痛いわけでもありません。

また外敵に襲われるのも、一日中襲われ続けているわけではなく、ストレスがかかるのは敵から逃げきるまでの一定の時間になります。

急性ストレスは、自然界の動物も人間社会の人間にもあるため、このようなストレスというのは自然界との大きなズレとは考えにくいと言えます。

大きなズレとして考えなければならないのは、自然界に無くて人間社会にあるような、人間特有のストレスではないでしょうか。

例えば、仕事をしたくないけれども生活のために、どうしても会社に行かなければならない…、これは一種のストレスになります。

他にも人間関係(職場、家庭など)が上手くいかないことによるストレス、金銭的な問題からくるストレス、将来への不安からくるストレス…など、現代人には多様なストレスがかかっています。

こういった現代人の抱えているストレスというのは、多くの場合、すぐに解決できるものではないため、ストレス自体が長期化する傾向があります。

嫌な仕事が急に好きな仕事になることも無ければ、人間関係や金銭的な問題から急に解放される、ということも普通はありえません。

現代人のストレスというのは、自然界の一時的な急性ストレスとは異なり、長期的に続いていくような慢性ストレスとも言えます。

長期的というのは、数ヶ月のこともあれば、数年のこともあります。

人によっては、数十年というような長い期間であることもあるし、一生続いていく場合もあります。

急性ストレスは自然界に存在するストレスですが、人間社会におけるような慢性ストレスは自然界には存在しないストレスです。

急性ストレスは自然界に存在するストレスであるため、それに関しては、動物はある程度は対応できると言えます。

一方、慢性ストレスに対しては進化していないため適応能力が無いと考えることもできます。

自然界に存在しないものに関しては、進化が促されないとも言えます。

動物は一時的なストレスには耐えることができても、長期的に続くストレスには、耐えることができるようにはできていないのかもしれません。

慢性ストレスに耐えうるためのシステムが、まだまだ体に備わっていないとも言えます。

つまり、慢性ストレスとは、現状の動物にとって大きな弱点なのではないでしょうか。

例えば、拷問(被害者の自由を奪った上で肉体的・精神的苦痛を与えること)は、「慢性ストレスに動物が弱い」という原理を利用した一つの手段であるとも考えられます。

一度や二度の苦痛には、人間は耐えることができる場合もありますが、数時間…、数日…、数ヶ月…、拷問が長期間続けば続くほど、耐えることができなくなっていきます。

大きな苦痛ほど耐えることはできなくなりますが、小さな苦痛であっても長期間続きストレスが蓄積していけば、耐えることは難しくなります。

現代人が日々受けている慢性ストレスというのは、人によっては、このような拷問に近いようなストレスであるとも言えるのかもしれません。




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