体内の異物というのは、体にとって悪い影響を及ぼすものであり、その異物を除去してくれる免疫によって人間の健康は維持されていると言えます。
例えるなら、免疫システムとは、犯罪者や侵入者を取り締まる警察や軍隊のようなものです。
では、警察と軍隊だけが存在していれば、社会はうまく回っていくのでしょうか。
銀行や会社、農家、政府、交通機関、通信網など、ありとあらゆるシステムが機能することによって社会は成り立っています。
人間のカラダも同じように、免疫だけではなく様々な体内システムによって健康な状態を保つことができています。
しかし、すべての体内機能には、体が想定している許容範囲があります。
多少イレギュラーな状態に体がなったとしても対応することができますが、どこまでも対応できるというわけではありません。
体の許容範囲を超えてしまうと問題が生じ、それが病気になることもあります。
例えば、糖尿病は、その一例と言えます。
糖尿病といっても、先天的な要因が原因の場合もありますが、多くの場合は運動不足と食べ過ぎが原因といっても過言ではないと考えられています(1)。
糖尿病とは、血糖値が高い状態に維持されることで、様々な問題が引き起こされる病気です。
食物から吸収されたブドウ糖は血液中に流れ、血中のブドウ糖の濃度は高くなり、食後に血糖値は誰でも高くなります。
本来、血液中のブドウ糖は、体中の細胞にエネルギーとして取り込まれて消費されていくため、血糖値は自然に下がり一定の値を保つことができます。
細胞にブドウ糖を取り込む手助けをする働きをもつのがインシュリンと呼ばれるホルモンの一種です。
体の出すインシュリンが処理できるブドウ糖の量は、無限ではなく上限があります。
上限以上のブドウ糖が血中に流れている場合は、処理しきれずに血糖値が高い状態のままになってしまいます。
体としては、十分ブドウ糖を処理できる量のインシュリンを出しているつもりでも、実際に血液中に存在するブドウ糖があまりにも多すぎると言えます。
体の許容範囲を完全に超えてしまった状態により、病気になっているとも言えます。
糖尿病患者がインシュリンを打つのは、投与した追加のインシュリンにより、強制的に細胞にブドウ糖を取り込ませることによって血糖値を下げています。
では、なぜ、人の出すインシュリンに上限値が存在するのでしょうか。
人間の細胞の数は一定数に決まっており、その細胞が必要とするブドウ糖の量も決まってきます。
また、一つ一つの細胞の大きさが決まっているため、一度に取り込むことのできるブドウ糖の量も決まってくるはずです。
体は、必要なブドウ糖の量を算出し、その量だけを取り込むのに必要な分だけのインシュリンを出すことで、ブドウ糖の細胞への取り込みを調整しているとも言えます。
世の中で上限値が決まっている場合というのは、どういう時でしょうか。
それは、その上限値を超えた時に、問題が生じる場合ではないでしょうか。
人間のカラダも同じように、必要以上のブドウ糖を取り込むことで、何らかの不都合が生じるから、インシュリンの上限を定めているとも考えられます。
言い方を変えれば、不必要なブドウ糖の流入を、体自身が拒んでいるとも言えます。
また、太っている糖尿病患者で内臓脂肪があると、インシュリンの効果を抑制する物質も出てきます(2)。
それにより、インシュリンによるブドウ糖の取り込み能力が抑制されるため、さらに血糖値は下がりにくくなります。
糖尿病患者は、インシュリンが足りないことと、そのインシュリンが効きにくくなるという悪循環で、どんどんブドウ糖が処理されにくくなり、血糖値が下がらなくなっていきます。
このような反応も、体が不必要なブドウ糖を拒んでいるとも言えます。
糖尿病患者で太っている人の場合、体には必要以上のエネルギー(余剰分)が内臓脂肪として、すでに蓄積されています。
そのため、体としては、これ以上のエネルギー源を細胞に取り込む必要性が無いと判断しているのかもしれません。
未来医療 人のもつ力が未来の医療を変える。
The Medical Future - Self-Care Medicine - / Copyright © John S. Doe All Rights Reserved.
目次( p. 1 - 158 )
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まえがき
p. 1 -
医師が病を治すのではなく、カラダが病を治す。
p. 4 - 5 -
なぜ、薬が病気を治すと信じる世界になったのか?
p. 6 - 8 -
今、本来の概念に戻す時が来ている。
p. 9 - 11 -
病気を治せる薬は存在しない。
p. 13 - 15 -
薬を飲み続けても病気は治らない。
p. 16 - 17 -
病気が治るのを薬が邪魔することもある。
p. 18 - 20 -
薬は様々なリスクを伴う。
p. 21 - 23 -
現代医療の本質とは何か?
p. 25 - 27 -
現代医療の真意は、病気を止めること。
p. 28 - 29 -
現代医療とは、あくまでも病気を治すサポート。
p. 30 - 31 -
カラダをいじればいじるほど問題が起きる。
p. 33 - 35 -
あと、どれだけの薬を作り続けなければならないのか?
p. 36 - 38 -
医療が発展しないジレンマ。
p. 39 - 41 -
病気とは、異物。
p. 44 - 47 -
病気とは、体内システムの異常。
p. 48 - 50 -
病気とは、体の許容オーバー。
p. 51 - 52 -
なぜ、人は病気になるのか?
p. 53 - 54 -
問題の本質を解決するということ。
p. 56 - 57 -
自然界の状態に戻すということ。
p. 58 - 60 -
当たり前のことをするということ。
p. 61 - 63 -
世界最高のテクノロジーとは何か?
p. 65 - 67 -
人のもつ力が未来の医療を変える。
p. 68 - 70 -
未来のテクノロジーとは、概念そのもの。
p. 71 - 74 -
はじめに
p. 77 -
データを根拠にしない理由
p. 78 - 80 -
運動 ― 動物は、動くもの。
p. 81 - 84 -
食事 ― 命そのものを食べる。
p. 85 - 93 -
睡眠 ― 危険が無いから眠れる。
p. 94 - 100 -
自然環境 ― 過酷な環境が生命を強くする。
p. 101 - 103 -
病気になる最大の理由
p. 105 - 107 -
ストレスとは何か?
p. 108 - 112 -
ストレスと、どう向き合うべきか?
p. 113 - 132 -
はじめに【重要】
p. 135 -
第一節 いかにして戦わずに勝つか。
p. 136 -
第二節 勝つ意思のある者が勝つ。
p. 137 - 138 -
第三節 強い相手だと思ったら、戦わない。
p. 139 - 140 -
第四節 守りを固めて待つ。
p. 141 - 142 -
第五節 病気になった理由を考える。
p. 143 - 145 -
第六節 肩の力を抜いて、気楽に。
p. 146 -
第七節 治療をする場合は、一瞬で。
p. 147 -
第八節 ほんの少しの治療で止める。
p. 148 -
第九節 病気に止めを刺さない。
p. 149 -
第十節 病気と仲間になる。
p. 150 -
第十一節 治療をするか迷ったら。
p. 151 - 154 -
自分の病気を治すための最善の方法
p. 156 -
さいごに
p. 157 - 158
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