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病気とは、体の許容オーバー。

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ブドウ糖というのは、人間のカラダにとってエネルギー源となるものであり、必ず必要なものです。

しかし、細胞に取り込まれるブドウ糖の量に一定の制限がかかっているように、必要以上のブドウ糖を体は拒否します。

では、なぜ、カラダは不必要なブドウ糖を拒むのでしょうか。

ブドウ糖というのは、他のものと非常に反応しやすい物質であるため、細胞と反応して細胞が傷ついてしまう事もあります。

また、体内のタンパク質と反応すると糖化蛋白というものができますが、その反応の際に不安定な物質も発生します。

その不安定な物質は、他の物質と反応して安定な状態になろうとします。

そのような反応によっても様々な細胞が傷つけられてしまいます(1)

糖尿病患者では、血中のブドウ糖が多いことで血管内壁がより傷つきやすくなります。

例えるなら、満員電車のようなものです。

普通なら乗客はぶつかることはありませんが、人の密度が高すぎて、ぶつかりやすいし傷つきやすくなっています。

その傷口から、血中のコレステロール(脂肪)が血管内膜に入っていけば、脂肪も溜まりやすくなり、動脈硬化も進行し血管が細くなりやすくもなります。

血管が細くなったり破壊されたりすると、様々な問題が引き起こされてきます。

太い血管は、少し細くなったとしても流れていきますが、元々細い毛細血管などは詰まりやすく、まずは毛細血管に関連する問題から生じてきます。

血管が細くなると、酸素や栄養素などが運ばれにくくなるため、末梢神経が障害を受けて手や足がしびれてきます。

毛細血管の多い目などで血管が詰まれば、失明することもあります。

血管が詰まりやすくなるため、症状が進めば脳梗塞や心筋梗塞なども起こる可能性は高くなります。

また、血管が細くなるということは、必然的に血圧も高くなり、血液をろ過している腎臓への負担も大きくなり、腎臓が機能しなくなれば透析をしなければならなくなることもあります。

ただブドウ糖が必要以上に体にあるというだけで、ありとあらゆる問題が生じてきます。

ブドウ糖は体が消費できる必要量の許容範囲内であれば、何の問題になることもありませんが、不必要な量になると生命維持において危機的状況を導くこともあります。

このような現象というのは、なにもブドウ糖に限ったことではなく、コレステロールもそうであるし、痛風の原因となるプリン体も該当します。

どの成分も、体にとって必要な栄養素であるけれども、体への供給量(体内の存在量も含む)と体の消費量のバランスが大きく崩れ、一定の許容範囲を超えてしまうと問題が起こると言えます。

収支が赤字すぎてもいけないし、黒字すぎてもいけない。

偏りのないプラスマイナスゼロに近い状態になっていなければなりません。

つまり、栄養は取れば取るほど体に良いという話では無いということなのかもしれません。

結局、人間のカラダというのは、自分の細胞以外のものが多く存在すると、何かしらの問題が生じてしまうのかもしれません。

だからこそ、免疫というものを進化させてきたとも言えます。

自分の細胞以外のものとは、癌細胞もそうであるし、ウィルスや細菌などの病原体、体内で消費できずに残存する栄養素、体内に取り込まれる人工的な化学物質など様々なものがあります。

病気になるということは、このような異物が体内に多く存在するということであり、逆に言えば異物の量を少なくしていくことが、病気を治すということだと言えるのかもしれません。



免疫が弱ったり、免疫システムがおかしくなったり、その他の体内システムの許容範囲を超えてしまう事などが、病気の原因になっていると言えます。

ただ、このようなことは、病気という原因の根本的問題ではなく末端を意味しています。

こういう病気のメカニズムというのは、学術的には必要なことですが、患者が病気を治す上では覚える必要性は全く無いのではないでしょうか。

重要なのは、末端ではなく、もっと上流の原因とも言えます。

では、結局のところ、なぜ人は病気になっていくのでしょうか。




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