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病気が治るのを薬が邪魔することもある。

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薬は、病気の症状や進行を引き起こす反応経路を邪魔することによって、その症状や進行を起こさせないようにする「阻害剤」とも言えます。

実際に薬の成分欄にも、○○阻害剤、××阻害剤というような表記を確認することができます。

病気の際に生じる辛い症状は、患者にとっては、すぐにでも止めたいものであり、そのために薬を使って症状を止める場合があります。

しかし、このようなカラダの症状を薬で止めても、本当に何も問題は起こらないのでしょうか。

実際には、大きな問題を生じることもあります。

端的に表現するのであれば、薬でカラダの諸症状を止めることによって、病気が治るのが遅くなるようなこともあります。

カラダの起こしている反応というのは、人間が進化の過程において勝ち得たものであるとも言えます。

不要な機能は淘汰され、本当に必要な機能だけが残り、その機能がさらに進化していく…。

そんなことを何度も何度も、何千年、何万年と繰り返すことで現在のカラダはできています。

つまり、病気に対して起こすカラダの反応(病気の際の諸症状)は、何の意味もなくカラダが起こしているのではなく、それなりの意味があると考えるのが理にかなっています。



誰でも身近な病気と言えば風邪ですが、風邪を引いた時には、発熱、鼻水、咳き・くしゃみ、のどの痛み…などといった様々な諸症状が起こります。

風邪薬を飲むことで、これらの症状が出なくなったり、楽になったりしたという経験を持つ人も多いと思います。

これらの諸症状は、風邪のウィルスによって引き起こされている(病気のせいによって起きている)と言えますが、見方を変えれば、カラダが病気を治すために意図的に引き起こしているとも言えます。

例えば、発熱は、免疫細胞の働きを活性化する作用があるとも言われています。

免疫細胞とは、風邪のウィルスと闘う重要な細胞ですが、体温が高いほど活発に機能することができます(1)

鼻水は、体内に追加で侵入しようとしてくるウィルスをとらえる働きがあり、咳きや、くしゃみにもウィルスの侵入を防ぐ役割があります。

のどの痛みも、のどからのウィルスの侵入を防ぐために闘っている免疫細胞を応援するための仕組みとも言えます。

のどが痛いのは、のどで炎症が起きているからであり、患部への血流が増加しているからです。

血流を増やして、免疫細胞による応援部隊をさらに患部へ送ったり、病気を治すために必要な物資を送ったりすることで、のどから侵入しようとしているウィルスを早く撃退しようとしています。

こういった風邪の諸症状が出ると、熱で頭はボーっとし、鼻水や咳きはつらく、のどの痛みもつらくなり、誰でも普段の活動ができなくなり、自然と休養をとらざるを得ない状況になります。

カラダは、異常が起きているということを自分自身に認識させ、防御治癒のための個体行動(休養や運動量の制限など)を起こさせようとしているとも言えます。

病気を早く治すためには、余計なエネルギーを使わず安静にして動かず休養をとってほしいとカラダは考えています。

そのため、カラダをだるくさせて、わざと体を動かせないようにしているとも言えます。

その方が、病気が早く治るからです。

ところが、風邪を引いているのに、仕事に行かなければならないからと言って、薬で諸症状を強制的に止めて無理をする人も少なくはないのではないでしょうか。

諸症状を薬で止めれば、活動することはできますが、カラダが病気を治そうとする流れを無視することになるため、風邪が長引くこともあります。




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