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当たり前のことをするということ。

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病気を治すということを突き詰めていくと、運動や食事、睡眠やストレス発散といった、非常に「普通なこと」にたどり着きます。

そんなことは、もはや誰でもわかっていることであるのかもしれません。

しかし、普通なことをすることが一番難しいことでもあります。

定期的に運動する、バランスのとれた食事をし、加工されたものを食べ過ぎない、睡眠時間を十分に確保する、ストレスを溜めずに毎日を送る…。

健康において、ものすごく当たり前のことばかりですが、これらは本当に簡単にできることなのでしょうか。

誰でも健康のために運動を始めようと思ったことが一度はあるはずです。

そうやって始めたランニングやジム通いは、今でも継続することができているでしょうか。

私たちの周りには加工された食品が山のように存在しています。

アイスクリームやケーキ、お酒、チョコレート、スナック菓子、インスタント食品、ジャンクフード、パン…など。

どれもおいしく、食べたくなるし、商品の宣伝や広告がきっかけで…、またはストレスの発散で…、頑張ったご褒美に…、ついつい買ってしまうものばかりではないでしょうか。

食べだしたら止まらない…、止められない…、ずっと買い続けるように商品というのは作られています。

どうしても消費者が買いたくなるように計算され工夫されつくした加工食品の誘惑に、負けずに生活することはできるでしょうか。

毎日、夜遅くまで残業し、長い通勤時間を経て帰宅し、十分な睡眠時間を確保することはできるのでしょうか。

病気になったからといって、その病気を治すために仕事を長期間休むことはできるのでしょうか。

家族を養うためなどの経済的理由から、仕事に行きながら病気を治さなければならないこともあるのではないでしょうか。

職場では人間関係で苦労し、家ではパートナーや子供のことや将来のことに頭を悩まし、そんな状況で、ストレスを溜めずに毎日を送ることなどできるのでしょうか。

もちろん人によるわけですが、多くの現代人は、病気を治すために必要なライフスタイル自体を送ることが、非常に難しいことなのではないでしょうか。

だからこそ、病気になっているのではないでしょうか。

しかし、現代人が送ることの難しい健康的なライフスタイルは、自然の中で生活していれば、自然に送れるライフスタイルとも言えます。

自然の中では、生きるために運動(狩猟採集や逃避行動)はしなければならないし、自然界にある状態のものしか食べることができません。

十分な睡眠時間もとれるし、人間社会特有のストレスもありません。

その代わり、弱肉強食の厳しい世界です。

自然界は、一見厳しいものですが、その厳しさが人間を病気にならないようにしてくれていたとも言えます。

人類は、そんな自然の厳しさから逃れようとしてきました。

楽に、便利に生きられるように発展してきたはずなのですが、いつの間にか、気づけば多くの人々にとって「生き苦しい」世界になってはいないでしょうか。

そして、それは病気を治すために必要な「当たり前の生活」を送ることが厳しい世界と言えるのではないでしょうか。

人間が避け続けてきた自然界の厳しさとは、実は人間の健康にとって良い意味での厳しさであったとも言えます。

例えるなら、子供に対する親の厳しさ(愛情の裏返し)のようなものです。

逆に、人類が手にした楽で便利な生活と、それを形作るための現代社会は、一体人間にとって何なのでしょうか。

何かを考え直さなければならない時が来ているのかもしれません。




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