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今、本来の概念に戻す時が来ている。

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薬(化学薬品)の登場により、医療は格段に進歩したことは言うまでもありません。

これまでできなかったこと、治せなかった病気を治すことができるようになり、昔に比べて多くの命を救うことができています。

また薬だけではなく、外科手術の進歩も目覚ましく、医療技術の為せることは増え、その恩恵を私たちは受けています。

一方で、治すことの難しい病気や、様々な手を尽くしたとしても救うことのできない命があることも周知の事実です。

現代人を悩ましているような病気の多くは、治すことが難しく、死に至る確率の非常に高いものです。

あらゆる手を尽くしても、何度でも再発を繰り返し、結局は治療のつらく苦しい思いをしただけで、報われずに死んでしまうことも少なくはありません。

だからこそ、将来なるかもしれない大きな病気に恐怖を感じ、悩み苦しむとも言えます。

目覚ましい医療の進歩にも関わらず、最終的に治したかった病気を治すことができないのが現状です。

大戦中に登場した革命的な薬の発見によって、世界中の人々は、「これからは、薬がすべての病気を治す」と信じるようになりました。

そして、人間の手で、あらゆる病気を治すことができると信じ、薬を作り続け、医療技術を、どんどん高めていきました。

「人間のカラダが病気を治す」という古い考えを捨て、大きな舵取りをして進めた先にたどり着いたのは、当時の人々が思い描いていた世界だったでしょうか。

薬を飲むだけで病気が治る世界だったでしょうか。

逆に、薬の副作用や、治療で病気を治すために、つらく苦しい思いをすることがあるような世界になると、当時の人々は思っていたでしょうか。

おそらく、当時の人々は、もっと希望に満ち溢れた素晴らしい世界を思い描いたはずです。

そして、人類は、今現在も、素晴らしい世界を思い描き続けながら、一度変えた方針(概念)を変えることはなく、ずっと歩みを進めているのではないでしょうか。



自分のしてきたことが間違っていたり、当初期待していたものと違っていたりした場合、多くの人は現状のやり方を元に戻すか、別の方法を検討するのは、ごく自然なことです。

では、今現在、大きな壁にぶつかっていると考えられる人類は何をしているでしょうか…。

「新しい薬も、新しい治療法も、どんどん生み出してきているのではないか」と思う人もいるかもしれません。

しかし、現代人を悩まし、今もなお増え続けている大きな病気を食い止めることができているでしょうか。

ほんのわずかだけ舵を切り、方向修正をしただけではないでしょうか。

手法を変えているように思えても、その根底には、「人間の手で病気を治せる」というエゴが存在しているのではないでしょうか。

このエゴを一度捨て去らない限り、失敗から学び、そこから導き出される解決策に、革新的な変化はもたらされることは無いのかもしれません。

何度も失敗すればするほど、次の方法なら解決できると信じ、何としても人間の手で治そうとし、その度に、人間のエゴはどんどん膨らんでいきます。

しかし、もし考え方が根本的に間違っているのであれば、間違った方法では間違った結果しか得られないとも言えます。

現状を打破するためには、もっと大きな舵取りが必要なのかもしれません。

今の世界線から別の世界線に移動するほどの進路変更をしなければ、私たちが本当に思い描いている未来の医療には、たどり着くことはできないのかもしれません。




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