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薬は様々なリスクを伴う。

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薬には一時的な副作用だけではなく、継続的に飲用することによって、将来的な副作用も存在します。

その一つが、発がん性リスクです。

発がん性リスクと言うと、紫外線やダイオキシン、アスベスト、タバコの煙などの化学物質が思い浮かぶかもしれません。

薬に発がん性リスクがあるというのはイメージしにくいものかもしれませんが、薬とは一体何でできているでしょうか。

多くの薬は、化学合成によって生み出された人工的な化学物質そのものです。

つまり、薬だけが他の発がん性物質とは異なり、発がん性リスクが全く無いわけではないということです。

実際に、世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関(IARC)による発がん性リスク一覧(1)の中には、多くの抗がん剤がリストアップされています。

他にも避妊薬のような薬も一覧には存在します。

特殊な薬だけが一覧に存在するだけで、普段使っているようなごく普通の薬は大丈夫だろう、と思う人もいるかもしれません。

しかし、「リストに載っていないから安全である」と考えるのは危険なことかもしれません。

そのリストとは、ありとあらゆることを調べつくした完璧なリストなのでしょうか。

ただ単に、まだ評価をできていないからリストに載っていないということもあります。

また、そのリストには加工肉(ハムやソーセージなど)やアルコール飲料など様々なものも列挙されていますが、そのほとんどは人工の化学物質で占められています。

いずれにしても、リストに記載されているものの多くが人工の化学物質である限り、人工の化学物質というもの自体に発がん性リスクがあると捉えておいた方が賢明なのかもしれません。

自然界には人間が作ったような化学物質は存在しないため、そのような人工の化学物質を長期的に体内に取り込めば、想定外の問題が起きてもおかしくはありません。



安全と言われていたものが、ある日突然、安全ではないと言われることは人類の歴史上よくあることです。

薬においても、効果があり安全と言われていても、実際に使用されると、重篤な副作用や死者が出るような薬害事件というものは少なくありません。

このような歴史から学んでおくべきことというのは、いくら効果があって、かつ安全と言われていても、疑いの目をもって接する必要性があるということです。

薬は臨床試験も行っていて、しっかりと調べられているから間違いが起こることは無い、というようなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、102%信じ切るのはとても危険な行為であると言えます。

医学的知識のない一般の人にとって、権威があり、知識のある人の言葉というのは正しいものであるように聞こえます。

確かに、多くの場合は間違うことはありません。

しかし、薬は人間が作ったものであるため、当然ミスが生じてしまう事もあります。

また、臨床試験において安全性試験に合格しているから安全だと言われていても、それは、「実施された試験内容においては安全だ」という条件付きの安全であるとも言えます。

どれだけ厳しい安全性試験を行っていたとしても、ありとあらゆる条件で試験を行うことはできず、これだけの試験をしていれば、まず安全だろう、という一定の項目しか試験を実施することができません。

だからこそ、実際に使用されると、薬を使う人によって、非常に複雑な条件(年齢、生活習慣、健康状態…など)が加わるため、事前に見つけることのできなかった副作用が生じることもあるのかもしれません。




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