ここまで、病気を治すために必要となるであろう戦術として、運動、食事、睡眠、自然環境、ストレスという大きな項目に関して考えてきました。
先にも述べたように、覚えなければならないことは、たった一つだけと言えます。
それは、人間は動物であるため、「自然界の状態に戻せば、自然に健康な状態に戻る」ということです。
そして、しなければならないことも、たった一つと言えます。
それは、「自身のライフスタイルの何が自然界の状態からズレているのかを自分で見つけ出し、そのズレを自然界の状態へと自分で試行錯誤しながら修正していく」ということです。
自然界の状態に戻すために、基本的には人間が考えた健康法や特別なものにとらわれる必要はないのかもしれません。
なぜなら、自然界の動物は、自然界にあるものだけで健康を維持することができているからです。
だからこそ、自然界の動物とできるだけ同じような生活を送っていけば、自然に健康を手にすることができるのではないでしょうか。
適度な運動、健康的な食事、十分な睡眠、ストレスを発散する…。
「そんなことは、わかっている」と思う人もいるかもしれません。
こんなことは大昔から言われている事であって、もはや誰もが理解していることです。
もう人類は、健康になるための基本理論をすでに導いているとも言えます。
ところが、現代人の多くの人は健康を害し、病気になる人の数は増え続けています。
つまり、どうすれば健康になれるのかという「答え」を知っていながら、それを実践できていないのが現状であり、そこが最大の問題です。
運動が大事なのはわかっているけれども、実際に定期的に運動をできていない…。
体に良くない食事が何かはわかっているけれども、我慢できずについつい良くないものも食べてしまっている…。
睡眠をとりたくても時間が無い、眠れていない…。
ストレスを発散しても発散しても、ストレスが無くならない…。
「だから、それを解決にするにはどうすればいいのか。その具体的な解決策を教えてほしい。」と思う人もいるかもしれません。
しかし、そんな人のために世間には具体的な解決策さえも、あふれているのではないでしょうか。
具体的にどうすればいいのか、その「具体的な答え」さえも私たちは手にすることができます。
それでも、多くの現代人は健康という問題を解決できずに病気になっているのが現状です。
では、なぜ、ほとんどの人は問題を解決できないのか。
一つ言えることは、人は答えを知り理解するだけでは解決できない問題もあるという事です。
健康問題とは、答えを知っているだけでは解けないタイプの問題とも言えます。
ということは、本当に必要なことは、答えを知ることではないのかもしれません。
ところが、私たちは答えを求めようとしています。
私たちは、問題には必ず一つの答えがあるものだと思っています。
そして、問題の解決策(答え)を探すことが問題を解決する方法だと思い込んでいます。
なぜなら、そう考えるように子供の頃に教育を受けてきているからです。
テスト問題の答えは、たった一つしかありません。
だから、子供は唯一の正解を、いつも求められてきました。
しかし、答えが一つしかなかったのは、採点する側の都合によるものです。
誰がどう考えても、答えが一つにしか決まらないようなタイプの問題でなければ採点ができないから、そのような問題しか出されてこなかっただけとも言えます。
私たちは、あまりにも特殊な種類の問題しか解いてこなかったのかもしれません。
本当は、答えがいくつもあるような問題は、世の中にたくさん存在します。
また、模範解答を見ても意味がわからず解けない問題があるように、答えを知っても解けない問題というものも世の中にはたくさん存在します。
さらに言えば、答えを出す必要のない問題さえ存在します。
にもかかわらず、私たちはどうしても、たった一つの答えを探そうとしてしまいます。
そう訓練され、社会の中で調整されていくからです。
答えを自分の力で導くのではなく、考える工程を省き、完成された答えそのものをどこかに探していくようになっていきます。
また、その答えで上手く行かなかった場合、別のもっと正しい答えを探していく、ということを延々と繰り返していくようにもなります。
そして、答えを探すことも面倒くさくなり、わざわざ時間をかけて本を読まなくなり、本の内容をまとめた動画や、誰かがわかりやすく解説してくれた動画を見るようになってはいないでしょうか。
もっとわかりやすく、優しく、簡単に、短く、早く理解できる情報を探そうとしてはいないでしょうか。
ちょっと難しい情報や、わかりにくさを感じれば、見ずにスキップしてはいないでしょうか。
私たちは、自分が手にする情報を、わかりやすく簡単なものに限定して、選択してしまっていることもあるのかもしれません。
これは、子供が図書館で絵本を選ぶようなものとも言えます。
私たちが理解しやすい情報を求めれば求めるほど、社会は、私たちがより簡単に理解できる情報しか提供しなくなります。
私たちは、わかりやすい誰かの攻略法を用いて、自分で考えずに、簡単に、苦労せず、失敗せずに、日常の問題を解決し続けています。
これは、他人の解決策に過剰に依存している状態とは言えないでしょうか。
人類は、楽を求めた結果、自分自身で考えるということさえ面倒になり、だんだんと日常の中で思考しなくなってきているのかもしれません。
もちろん、仕事やプライベートにおいて何も思考していない人などいないわけですが、私たちは本当に深い思考をすることができているのでしょうか。
もし、知らず知らずのうちに、私たちの思考レベルが下がっているのだとしたら、様々な問題が解けにくくなっていてもおかしくはありません。
現代社会においては、一部の人の思考レベルはより大人になっていくけれど、大半の人はより子供に近づいていっているのかもしれません。
子供に近づくということは、より動物に戻っていくとも言えます。
これは余計な思考をしないという意味合いでは、とても良いことです。
なぜなら、深く考える能力があるからこそ余計なストレスを感じ、苦しむこともあるからです。
ただし、それは自然界という純粋な世界で生きるのであれば、という条件付きの話です。
人間社会という不純な世界で生きるのには不利な状況になったり、人生がより生きづらくなったりすることもあるとも言えます。
思考レベルの低い子供は、余計な問題につまづくし、騙されている事にも気づかずに騙されたり、失敗もしやすくなります。
そして、直面する問題を自分の力で解決しにくくなります。
これも、多くの人類が健康という問題を解くことができない原因の一つなのかもしれません。
では、どうすれば解決できるのか。
その答えは、全員同じではなく、全員違います。
だからこそ、ここから先の自分の答えは、自分で導き、試行錯誤していくしかありません。
人は誰でも、昔の自分を思い出した時に、なぜあんなことをしたのか…、間違っていた…、何もわかっていなかった…、と思うようなことがあります。
いつでも人は、自分が一番正しいと思ったことをしているはずですが、間違うことはあります。
しかし、本人は正しいと思っているから間違いだとは思ってはいません。
5年、10年、場合によっては数十年といった長い年月を経て、初めて自分の間違いに気づくものです。
他人に正しい答えを教えてもらえさえすれば、必ず間違いに気づけるというものでもありません。
それを正すには、自分自身で気づく(悟る)しかありません。
もちろん、これは簡単なことではないとも言えます。
なぜなら、自分が気づいていないことに気づく(悟る)ということは、目の前に見えていないものを見るようなものであるからです。
そもそも、目に見えていないものを確認することなどできないものです。
しかし、自分自身の成長によっては、決して気づくことができないものでもありません。
実は、見えていないわけではなく、自分自身が、ただそれに気づけていないだけなのかもしれません。
これは、例えるなら、間違い探しのようなものです。
一見全く同じに見える2つの絵の中に、いくつか間違いがありますが、間違いを目で見ているはずなのに、なかなか気づけない間違いがある…。
でも、どこが間違いなのか、じっくり、ずっと目を凝らしていると、ある時、突然、その間違いに気づくことができてしまうものです。
これまで、私たちは、子供から大人に成長する過程において、様々な多くのことに気づいてきたのではないでしょうか。
健康になるために自身のライフスタイルを自然界の状態に戻したとしても、上手くいかずに悩み壁にぶつかる時もあるかもしれません。
しかし、そこから、なぜ上手くいかなかったのか、どうすれば上手くいくのかを考え出していくことが、試行錯誤していくということではないでしょうか。
与えられた例題と、その解き方を覚えるだけでは、ほんの少しひねった問題が出された途端に解けなくなります。
自身で解決策を導くことで、応用力や思考力が養われ、様々な問題に対しても対応していくことができるとも言えます。
ここで書かれている解決策を試しても上手くいかなかったからと言って、また別の人が考えた解決策を探すのではなく、自分自身の解決策を見つけていくことが大切なことではないでしょうか。
未来医療 人のもつ力が未来の医療を変える。
The Medical Future - Self-Care Medicine - / Copyright © John S. Doe All Rights Reserved.
目次( p. 1 - 158 )
-
まえがき
p. 1 -
医師が病を治すのではなく、カラダが病を治す。
p. 4 - 5 -
なぜ、薬が病気を治すと信じる世界になったのか?
p. 6 - 8 -
今、本来の概念に戻す時が来ている。
p. 9 - 11 -
病気を治せる薬は存在しない。
p. 13 - 15 -
薬を飲み続けても病気は治らない。
p. 16 - 17 -
病気が治るのを薬が邪魔することもある。
p. 18 - 20 -
薬は様々なリスクを伴う。
p. 21 - 23 -
現代医療の本質とは何か?
p. 25 - 27 -
現代医療の真意は、病気を止めること。
p. 28 - 29 -
現代医療とは、あくまでも病気を治すサポート。
p. 30 - 31 -
カラダをいじればいじるほど問題が起きる。
p. 33 - 35 -
あと、どれだけの薬を作り続けなければならないのか?
p. 36 - 38 -
医療が発展しないジレンマ。
p. 39 - 41 -
病気とは、異物。
p. 44 - 47 -
病気とは、体内システムの異常。
p. 48 - 50 -
病気とは、体の許容オーバー。
p. 51 - 52 -
なぜ、人は病気になるのか?
p. 53 - 54 -
問題の本質を解決するということ。
p. 56 - 57 -
自然界の状態に戻すということ。
p. 58 - 60 -
当たり前のことをするということ。
p. 61 - 63 -
世界最高のテクノロジーとは何か?
p. 65 - 67 -
人のもつ力が未来の医療を変える。
p. 68 - 70 -
未来のテクノロジーとは、概念そのもの。
p. 71 - 74 -
はじめに
p. 77 -
データを根拠にしない理由
p. 78 - 80 -
運動 ― 動物は、動くもの。
p. 81 - 84 -
食事 ― 命そのものを食べる。
p. 85 - 93 -
睡眠 ― 危険が無いから眠れる。
p. 94 - 100 -
自然環境 ― 過酷な環境が生命を強くする。
p. 101 - 103 -
病気になる最大の理由
p. 105 - 107 -
ストレスとは何か?
p. 108 - 112 -
ストレスと、どう向き合うべきか?
p. 113 - 132 -
はじめに【重要】
p. 135 -
第一節 いかにして戦わずに勝つか。
p. 136 -
第二節 勝つ意思のある者が勝つ。
p. 137 - 138 -
第三節 強い相手だと思ったら、戦わない。
p. 139 - 140 -
第四節 守りを固めて待つ。
p. 141 - 142 -
第五節 病気になった理由を考える。
p. 143 - 145 -
第六節 肩の力を抜いて、気楽に。
p. 146 -
第七節 治療をする場合は、一瞬で。
p. 147 -
第八節 ほんの少しの治療で止める。
p. 148 -
第九節 病気に止めを刺さない。
p. 149 -
第十節 病気と仲間になる。
p. 150 -
第十一節 治療をするか迷ったら。
p. 151 - 154 -
自分の病気を治すための最善の方法
p. 156 -
さいごに
p. 157 - 158
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未来医療 人のもつ力が未来の医療を変える。
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