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ストレスと、どう向き合うべきか?

p. 126( p.113 - 132 )




ここまで、自分の問題は、自分自身で解決策(悟り)を導くことそのものが解決策になるという話をしてきました。

この、「自分で考える」という事で、自身が抱える問題が解決の方向へと向かっていくと考えられますが、一方で、この方法ではおそらく問題が解決しないとも言えます。

なぜなら、ここまで話してきたことは全て筆者の解決策(悟り)であり、読者の解決策(悟り)ではないからです。

つまり、この悟りの定義そのものも筆者が思考したものであり、読者が自分で考えたものでない限り、悟り(答え)にはなり得ないという事です。

なぜ、ここまでの内容で問題が解決しないかというと、問題解決において重要な要素が考慮されていないからです。

例えば、1m先の的に銃弾を当てなければならないという問題があったとします。

1m先の的に銃弾を当てることは非常に簡単なことであり、これは私たちが日常で抱えている問題とは全く性質が異なります。

個人個人の抱えている問題というのは、自分で解決しようとしているが、なかなか解決のできない難しい問題のはずです。

そうでなければ、悩むことも無いとも言えます。

そこで、この銃弾を的に当てるという問題の難易度を極端に上げて、なかなか解決できない問題にします。

例えば、1m先の的ではなく、数km先の的に変更すればどうでしょうか。

肉眼で的を確認する事すらできず、普通に考えれば、ほぼ不可能な離れ業とも言えます。

この不可能とも言える問題を解決する精度を少しでも上げようと思ったら、どうすればいいでしょうか。

的に当てるために必要となるであろう様々な要素を全て考慮すればいいとも言えます。

例えば、銃弾の形状や重さ、銃口の向き、射出速度、銃弾の軌道、空気抵抗、筋肉の振動、天候、気温、気圧、湿度、風の影響、重力の影響、地球の自転、地球の遠心力…など。

これだけの要素を考慮し対策をとったとしても、的を外すかもしれません。

それでも、考えられる要素を考慮し修正していくほど的中する確率は上がります。

逆に、何も考慮しなければ当てることは、ほぼ確実に不可能と言えます。

では、あなたが抱えている問題に対して考慮しなければならない要素とは何でしょうか。

それは、あなた自身に関する全てのことです。

抱えている問題の詳細、状況だけではなく、あなたの生きている時代、年齢、性別、国籍、学歴、居住環境、家族構成、仕事内容、生活水準、収入、貯蓄額、性格、顔、体型、体重、身長、髪や肌の色、服装などの身なり、清潔感、相手に与える第一印象、その人の雰囲気、生活習慣、日々食べているもの、知識量、運動量、人間関係、交友関係、コミュニケーション能力、メンタルの状態、ストレス状況、ストレス耐性、我慢強さ、意思の強さ、思考レベル、理解力、行動力、決断力、判断力、冷静さ、特技、優しさ、これまでどんな人生を歩んできたのか、あなた自身も気づいていない可能性、運の要素…など。

挙げればきりがありませんが、上記の項目以外にも、ほぼ無限に考慮しなければならない要素はあります。

これらは、問題解決に必要となる可能性のある、あなた自身のパラメーターと言えるのかもしれません。

それでは、筆者が導いた「自分で解決策を考える」という解決策を導くのに、あなたの要素を一体いくつ考慮してあるでしょうか。

それは、ゼロです。

なぜなら、筆者は、あなたの顔も見たことも無ければ、どんな悩みを抱えているのか…、どれほど苦しんでいるのか…、どれだけ頑張っているのか…も全く知らないからです。

これは、例えるなら、テスト問題の問題文を読まずに、その問題の答えはこうだと言っているようなものです。

問題が難しければ難しいほど、しっかり問題文を読み問題の意図を理解しなければ答えを出すことはできません。

私たちは、自分よりも頭のいい人なら、自分の抱えている問題を解決できると思ってしまいます。

しかし、どんなに難しい問題でも解決できる天才がいたとしても、問題を読まずに問題を解くことはできません。

にもかかわらず、あなたの問題文を全く読まずに出した筆者の答えというのは、的中(正解)するでしょうか。

あくまでも、筆者の解決策(答え)というのは、筆者という一人の人間が「正しい、こうすれば上手くいく」と、ただ思っているだけのことに過ぎません。

「正しいと思っている答え」と、「正しい答え」は全く違います。

つまり、筆者(他人)の解決策(悟り)では、あなたの解決策(答え)にはならないという事です。

では、刻一刻と変化していく状況において、あなたの問題を解決するために必要な要素を最も多く正確に考慮することのできる人物とは誰でしょうか。

それは、あなた自身であると言えます。

だからこそ、自分自身で導いた答えというものが、最も当たる確率の高い答えに成り得る可能性が高いという事になります。

そして、今こうやって話している「この考え自体」も筆者の考えであり、あなたの答えには成り得ません。

「自分の導いた答えが最も善い答えである」と筆者は言っていますが、状況や問題によっては、他人の導いた答えによって問題が解決することもあります。

結局、あなたのことを知り得ない限り、どれだけ言葉を並べても、あなたの解決策(悟り)に近づくことは無いとも言えます。

むしろ、あなたのことを何も知らない筆者(他人)が説明すればするほど(的外れな議論をすればするほど)、本当に求める答えから遠ざかっていくのかもしれません。

つまり、自身の解決策(悟り)を導くことができるのは、やはり自分自身だという事ではないでしょうか。



ここまでの内容で、悟りというものが理解できた人もいるかもしれません。

いや、よくわからないという人もいるかもしれません。

しかし、よくわからないのは当然とも言えます。

なぜなら、まだ悟りに関して全てを話してはいないからです。




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