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ストレスと、どう向き合うべきか?

p. 124( p.113 - 132 )




何百キロも離れた地点にいかなければならないとして、便利な交通手段があるのに、わざわざ自分の足で歩いていく人はいません。

誰でも楽をしたいものです。

誰かが考えたストレスの解決法があるとして、もし、その解決法を多くの人が凄いと言っているのであれば、その解決法を真似しない手はありません。

なのに、なぜ、わざわざ自分で考えて解決法(悟り)を導かなければならないのでしょうか。

世の中には、人生をより良くするための自己啓発本が山のように存在しています。

ストレスを感じない方法論、成功の秘訣、お金に困らない生き方、人間関係を上手くいかせる方法、健康になる秘訣…など。

人間のストレスや欲の数だけ攻略本は存在すると言えます。

○○はするな、○○はした方がいい…あらゆる主張があふれています。

もし、世の中の本をすべて読むことができる人がいるとしたら、結局みんなは何が言いたいのか?、と思うぐらいに多様な考え方があります。

すべての意見を信じれば、振り回されて、逆にストレスになってしまうほどです。

これらは、その一つ一つが、誰かが考え、たどり着いた解決策(悟り)であると言えます。

普通は、自分で考えずに、他人が考え優れていると世間で評判の解決策を利用することが、最も効率的であると判断します。

なぜなら、誰かが考えて解決策にたどり着いても、自分の力で同じ考えにたどり着いても、結局は同じではないか、と思えるからです。

しかし、両者は、本当に同じなのでしょうか。

もし、同じであるのであれば、何十冊か自己啓発本を読めば、ほとんどの問題は解決するはずです。

もちろん、これまでに読んだ本によって、自分の人生にプラスになることも幾つもあったかもしれません。

でも、また新しい別のベストセラーが出れば、その本を買って読んではいないでしょうか。

なぜ、何度も何度も本を買い続けたくなるのでしょうか。

それは、自分の人生に満足できず自身の問題が解決していなくて、その新しい本の内容を読めば問題を解決することができると思うからではないでしょうか。

本の中に答えがあると思っているからではないでしょうか。

ということは、本を読んで感動し、問題を解決できると思ったはずなのに、何も解決してはいない、ということになります。

なぜ、こうすれば問題が解決すると書かれた本を読んで、自身もその内容に納得したはずなのに、問題は解決しないのでしょうか。

それは、結局、その人が行動を起こさなかったからである、と言う人もいるかもしれません。

もちろん、行動しなければ何も変わらないのは原因の一つかもしれません。

しかし、大事なことを見落としてはいないでしょうか。

そもそも、解決策(悟り)というのは、誰かが、自身の様々な経験を通して考え抜き、思考を重ねた結果として最終的にたどり着いたものです。

本に書かれている内容というのは、どんなに丁寧に書かれていたとしても、最後の結論だけが書かれているようなものです。

例えば、感動的な映画があるとして、その映画の最後のシーンだけを切り取って見せさせられても、涙を流すことはありません。

映画は、初めから全部通して見る(体験する)ことで、初めて感動し涙が出るのではないでしょうか。

悟りも同じではないでしょうか。

自分で様々なことを経験し、思考を重ねて、初めて解決策(悟り)に到達することができるはずです。

重要なことは、悟りに達するまでに積み重ねた、無駄とも思えるような経験や思考そのものとも言えます。

例えば、子どもに人生のアドバイスをするときに、大人と同じような言い方をしても伝わらないことがあります。

これは、子どもに、それを受け止められるだけの知識や経験、思考する能力が備わっていないからとも言えます。

自己啓発本というのは、悟りに達するための、最も重要な部分(文章で伝えることのできない著者自身の経験そのもの)が抜けているからこそ、著者の意図を本当の意味で理解しきることができないのかもしれません。

では、本を何度も繰り返し読んで、著者の意図を理解しさえすれば、その解決策を行動に起こすことができるのでしょうか。




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