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ストレスとは何か?

p. 111( p.108 - 112 )




ストレスが健康に良くないとは思っていない人の死亡率は、低下していなかった、という話があります(1)

ある健康心理学者は、こうした研究を紹介し、ストレスが多いと、死亡するリスクが43%増加するが、それはストレスが健康に害があると認識している場合であると説明しました。

つまり、ストレスは健康に良くない、と思っている人が、ストレスを受けた場合、死亡リスクが上がるという事です。

逆に、ストレスと健康に関係性は無いと考えている人の場合は、ストレスを受けても、死亡リスクは上がらないとも言えます。

また、科学的にはストレスの捉え方次第で、ストレスに対する体の反応が変わる研究も紹介されています。

例えば、ストレスを感じると心臓がドキドキするが、これを体に悪いとネガティブに捉えると、実際に血管が収縮し心不全などの原因となります。

ところが、心臓がドキドキするのは、新鮮な血液を心臓にどんどん送り込んでくれているのだ、と肯定的に捉えると、血管が収縮しないことが分かった。

すなわちストレスは、捉え方により、健康に全く害がないと主張しています(2)(3)

もちろん、本人が、どれだけ健康に害がないと思っていたとしても、受けるストレスの量や状況によっては、全く健康に害がないとは言えないとも言えます。

ただ、本人の捉え方による影響というものは、とても大きなものであるということは納得できる人も多いのではないでしょうか。

つまり、ストレスとは人間の思考そのものと言ってもいいのかもしれません。

人間は多様な思考ができるからこそ、人によって異なる多様な出来事や状況に対して、無数・無限のストレスを生み出すことができるとも言えます。

ストレスになるようなものではなかった出来事でも、本人の思考によってストレスになったり、思考を繰り返すことで小さなストレスが大きなストレスになったりもします。

よく日常の中でも、自分の悩みを人に相談すると、そんな事はたいしたことではない…、そんなことはストレスにはならない…、私の方が大変な思いをしている…、などと言われることがあります。

しかし、ストレスとは、本人が受けているストレス状況の大きさのみによって決まるものではなく、本人の思考によっても増減します。

つまり、個人個人のストレス状況を比較する事は、あまり意味がないとも言えます。

本人が受けているストレスが周りと比べて小さいからと言って、その本人のストレスが小さいとは限りません。

ストレスの小さな種に水を与え続ければ、やがてストレスの花が咲きます。

人間は、何もないところからストレスをつくり出すこともできます。

逆に、思考することができなければ、人間のようなストレスを感じ取ることはできないとも言えます。

このような想像力というのは、動物と人間の大きな差であり、自然界との大きなズレであるとも言えます。

本来、動物には無かった 「思考する」という能力を手に入れたことで、人間はストレスを感じることさえもできるようになっていったのかもしれません。

それによって、人間は自然界の状態から離れていっているのではないでしょうか。




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