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睡眠 ー 危険が無いから眠れる。

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これまでとは少し別の観点で、眠れない現代人と自然界の動物との差を考えた場合、一日に処理している情報量の違いが挙げられます。

私たちは日常の中で、言葉、文字、写真、動画…など、膨大な量の情報を浴びるようにして生きています。

情報通信網の発達によって、昔に比べて人間が一日に手にするデータの容量は凄まじいものがあるとも言えます。

朝起きて様々な電子機器の電源を入れ、すぐに膨大な量の情報を閲覧し、脳にその情報を処理させます。

日中は仕事で機器の画面を見続け、仕事の合間や仕事が終わってからも見続けています。

もちろん仕事内容や人にもよりますが、一日に合計して、一体どれだけの時間を情報の閲覧に費やしているのかを考えてみたことはあるでしょうか。

最終的には、夜眠りにつく直前まで、膨大な量の情報を脳に処理させ続けてはいないでしょうか。

パソコンのCPU(中央演算処理装置)の処理能力に上限があるように、人間の脳にも上限があるとも考えられます。

もし、その許容範囲を超えているのだとしたら、人間の睡眠に何かしらの障害が生じたとしても不思議ではありません。

なぜなら、人間の処理する情報量は、動物が自然界において得る情報量を明らかに超えているとも言えるからです。

本来、自然界において、日が沈み辺りが暗くなると、視覚から得られる情報は少なくなっていき、他の動物達も活動しなくなるため、音の情報も少なくなっていきます。

夜になればなるほど、脳が処理する情報は少なくなり、脳自体の活動量も減っていきます。

そして、脳は覚醒状態から徐々にゆっくりと、段階的にニュートラルな状態になり、その流れで眠りについていきます。

これが自然界における、動物が眠りにつくための自然な流れです。

一方、私たち人間はどうでしょうか。

眠る直前まで脳に情報を処理させ続け、ベッドに入り横になってからも機器の画面を見てはいないでしょうか。

脳は全力で稼働していて、完全に覚醒状態とも言えます。

そんな状態では、眠ることなどできないのは当たり前のことなのかもしれません。

例えば、ランニングをすると息が切れますが、ランニングを止めても、しばらく呼吸は乱れたままであり、平常時に戻るには少し時間がかかります。

もし、脳の場合、ニュートラルな状態に戻すのに一定の時間がかかるのだとしたら、そのせいで、すぐに眠りにつけないこともあるのかもしれません。

本来、自然界では夜になると同時に、脳の活動量は減少していき、眠りにつくために必要な状態へと移っていきます。

私たち人間も、眠る前に脳への情報の供給を制限し、脳の活動を低下させる過程(眠りへの準備段階)が必要なのではないでしょうか。

結局、現代人は脳を使いすぎていて、眠れなくなっているのかもしれません。

しかも、この脳を使いすぎているというのは、何かを生み出すような能動的な使い方ではなく、受動的な使い方をしている時間の方が多いのではないでしょうか。

次から次へと提案される記事や動画といった情報を、提案されるままに見続けてはいないでしょうか。

まるで、どんどん運ばれてくる荷物を左から右へ、上から下へ受け流すかのような単純作業とも言えます。

単純作業とは言っても、その量が膨大すぎるものであるため、脳に大きな負荷がかかり続けているのかもしれません。

ここまで、情報の量の多さに問題があるのではないかという話をしてきましたが、この情報の内容にも大きな問題が含まれているとも言えます。




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