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病気とは、体内システムの異常。

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もし、このTh1/Th2バランスが成長段階で正常な状態に戻らなければ、子どものころからアレルギーになるのかもしれません。

Th1が活性化しバランスを元に戻すためには、自然界の不衛生な環境(病原体の多い環境)が必要になります。

しかし、現代において、人間は生まれた時から、成長し大人になってからも、非常に清潔な環境で生活します。

このような状況を踏まえて、唱えられたのが衛生仮説(1)というものです。

環境が清潔すぎるとアレルギー疾患が増えるという考え方です。

乳幼児期における細菌への曝露量が、以後の花粉症や喘息の発症に密接に関係しているという報告(2)もあり、衛生仮説を裏付けているとも言われています。

この仮説が正しければ、自然の多い田舎に住む人と自然が少ない都心に住む人では、アレルギー患者の数に差が生じてもおかしくはありません。

しかし、田舎であるからアレルギー患者が少ないわけではないし、都心に住んでいてもアレルギーにならない人はいるため、すべてを衛生仮説で説明することはできません。

また、免疫のバランスが正常な状態で大人になったとしても、何らかの原因によってバランスを崩し、免疫システムに異常をきたせば、アレルギーになるとも言えます。

例えば、子どもの時は花粉症ではなかったのに、大人になってから花粉症になるようなことも一例として挙げられます。

逆に、子どもの時にアレルギーで、様々な治療をしても良くならなかったのに、大人になるにつれて免疫のバランスが戻っていくと、自然と治ってしまう事もあります。

バランスが崩れることが原因であるのであれば、そのバランスを元に戻してあげればアレルギーが治るとも言えます。

投薬などによって、Th1を強くし、Th1/Th2バランスを強制的に正常な状態に戻そうとすることも試みられてきましたが、なかなか簡単にアレルギーを治すことができないのが現状です。

この事実も、アレルギーというものがTh1/Th2バランスという概念だけでは説明しきれていないということを証明しているとも言えます。

このように、様々な説によってアレルギーを上手く説明しようと思っても、どうしても説明しきれない部分が出てきます。

しかし、上手く説明できないということは問題ではありません。

なぜなら、人間のカラダを完璧に理解できていない現在の人類の知識レベルでは、説明できないことの方が当たり前であると言えるからです。

アレルギーは、免疫システムの異常の一つですが、その他にも自己免疫疾患(関節リウマチや膠原病など)もあれば、難病と言われるものもあります。

特に現代において増え続ける難病は、その多くに免疫システムの異常が関与しているとも言えます。

結局、体内の免疫システムが正常に機能しないことによって問題が起きています。

正しく働くべきものが正しく働かないわけであるので、問題が起きて当然であるとも言えます。

花粉やアレルギー物質といったものは末端の原因であり、このような病気の本質というのは、何らかの原因によって、体の状態がおかしくなっているという事なのではないでしょうか。




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