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医療が発展しないジレンマ。

p. 40( p.39 - 41 )




現代医療は、病院に行って病気は治すもの…。

製薬会社が薬を作り、医師は患者を薬で治す…。

手術をし、カラダをいじることで病気を治す…。

といったように、多くのことが既に決まっています。

これらは、人類が多くの選択の結果、たどり着いたシステムとも呼べるものです。

社会に構築されてしまったシステムは、急激に変化させることができません。

壁にぶつかっている現状を打破するためには、「人間の手で病気を治す」という概念から、「人間のカラダが病気を治す」という概念に切り替えるというのも一つの方法なわけですが、そのためには社会のシステム自体を大きく変えなければならないということになります。

もはや、ただ単純に概念を変えればいいというだけの話ではなくなっています。

誰も不利益を被らず、誰もが幸せになるのであれば、社会のシステムを変えてしまっても問題はありませんが、そうはいきません。

人間のカラダが病気を治すという概念に切り替えるということは、今ある薬を使う量が減ったり、できるだけ手術などの治療をしなくなったりするということになります。

それによって、医療を提供する側(病院や製薬会社など)は困ることになります。

同時に、医療システム自体によって生計を立てている人たちも困ることにもなります。

つまり、概念の変化とともに、それに沿うように社会のシステム自体も変化していく時間が必要になります。

ひずみが起こらないように、社会のシステム自体が自ら徐々に変化していかなければならないため、膨大な時間がかかります。

これまで医療が発展したのは、資本主義経済によって構築された現在の医療システムのおかげであるとも言えます。

しかし、築き上げてきた社会システム自体が医療の発展を大きく妨げることにもなります。

今の医療を変えることによって不利益を被るのであれば社会は当然反発し、今の状態を維持しようとします。

人間は、今ある状態から、そうではない状態への変化を嫌うものです。

これは、人間誰もが持っている身を守るための生存本能とも言えます。

誰が悪いわけでもなく、資本主義経済である以上、避けることができない側面であると言えます。




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