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第五節 病気になった理由を考える。

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生活習慣を改善していくという行為は、健康な状態に戻るための山を、一歩一歩登っていくようなものとも言えます。

では、病気になった人は、みんな同じ山を登っているのでしょうか。

登らなければならない山というのは、人それぞれ全く異なります。

山の大きさも、山の形も、全く別の場所に存在する全く別の山とも言えます。

自分の山を、どうすれば最短ルートで攻略できるのかというのは、その山の周りを注意深く観察し、自分で、自分が登っていくルートも、登り方も決めなければなりません。

自身の生活習慣を見つめ直し、病気になってしまったと推測される最大の原因を探し、試行錯誤していく。

もちろん、他人が、あなたが病気になった原因を、運動不足や食事が原因だろう…、と推測することもできるし、みんなが推奨する健康法を参考に生活習慣を改善していくこともできます。

しかし、他人の推測というのは、ものすごく浅いものではないでしょうか。

世間や他人が言っていることというのは、あなたが登ろうとしている山を見て言っているわけではありません。

自分の山を注意深く観察することができるのは、その山を作ってしまった自分自身しかいません。

あなたが病気になったのは、本当に運動や食事が原因なのでしょうか。

もし、自分でもそう思うのであれば、それを改善していけばいいと言えます。

しかし、深く自分の生活習慣を見つめ直した時に、より大きな別の原因を見つけることができたのであれば、その問題を解決しなければならないのではないでしょうか。

決して運動や食事、睡眠といった健康の基本が、健康になるための答えではないと言っているわけではなく、それらは末端であり、答えを探す手がかりにすぎないということです。

その奥深くに答えがあるのかもしれません。

健康問題を抱えている時に、運動した方がいい…、食事を変えた方がいい…、ちゃんと寝た方がいい…、ストレスを発散した方がいい…、というようなアドバイスを、誰でも一度は誰かに言われたことがあるのではないでしょうか。

これらのアドバイスは間違ったことは何も言ってはなく、どれも正論とも言えます。

ところが、どれだけ具体的で論理的で正しい答えであろうと、その答えで解決できない人にとっては、その答えは解決策(答え)にはなりません。

例えば、運動した方がいいと言われても、ストレスが多過ぎて運動する元気さえ出ない人だったらどうするのか…。

食事を変えた方がいいと言われて、色々とやっているけれども、日々のストレスに耐え切れず、他にストレスの発散方法が思いつかず、美味しいもの(体に悪いもの)をどうしても食べ過ぎてしまう人だったら…。

寝た方がいいと言われても、何をしても夜中に起きてしまう人だったら…。

悩みを友人に話した方がいいと言われても、親友がいない人や、性格的に簡単に自分のことを話せない人だったら…。

悩みを人に話せば話すほど、自分のことが辛くなる人だったら…。

お金が無いことがストレスだから、投資で稼げばいいと言われても、投資するお金さえ無い人だったら…。

いや、そういう時は、こうすればいい…、と思った人もいるかもしれませんが、それでも解決できない人だったら…。

誰でも、友人や家族、周りの人、本の著者などに、「こうすれば解決できる」というようなアドバイスをもらった時に、「確かにそうだけど…、それは、こういう理由があって解決できない」というように、そのアドバイスを無効化した経験はあるのではないでしょうか。

上記のようなことは、個人個人によって無限に存在しますが、これは、正論であった他人の答えが正論ではなくなる瞬間とも言えます。

もはや、何の意味も持たなくなってしまう場合もあるのではないでしょうか。

本当の答えは、まだ先にあるとも言えます。

今度こそはと言って、生活習慣を改善しようとするけれど、失敗してしまう…。

もう何度も何度も失敗している…。

どうすれば今の状況から抜け出せるのか、何をすればいいのかは自分でもわかっている…。

でも、辛さや苦しさに我慢できず誘惑に負けて、目標を達成できずにあきらめて、元の生活に戻ってしまう…。

そんな悔しい日々を繰り返してしまう…。

もう、どうしたらいいかわからない…。

あなたを苦しめているのは、一体何なのか、誰なのでしょうか。

また、人によっては、言われたことをちゃんと守って、継続して生活習慣を改善しているのに健康にならない、という人もいるかもしれません。

こうすれば解決できるはずだ、と思って自分で試行錯誤するけれど、なぜか何度も失敗するし、何も変わらず健康にならない。

何かが、おかしい…。

何かを見落としている…。

これは、まさにミステリーであるとも言えます。

しかし、推理小説に登場する名探偵のように、この難事件(謎)を解かなければなりません。

これは、あなたが解決しなければならないミステリー事件です。

あなたが健康になることを邪魔している真犯人と事件の解決策を見つけなければなりません。

なぜなら、この推理小説の主人公は、あなた自身であり、この謎は、あなたにしか解けない問題であるからです。

周りが気づかない本当の答えを見つけるのは、いつも主人公なのではないでしょうか。

家の鍵を無くした時に、思いもよらない場所から鍵が見つかることがあります。

問題の解決策(鍵)が自分の想像をはるかに超えてくることがあるからこそ、深く、深く、自分が病気になった理由と、その解決策を考えなければならないとも言えます。

そして、自分で解決策を導くことには、もう一つ理由があります。

世の中では、病気になった人に対して、こうすれば、ああすれば治せる、という無数の解決策が提案されています。

もし、自分で解決策を導き、自分なりの軸となる方針を持っておかなければ、周りの意見に振り回されてしまう事にもなります。

あくまでも、他人の解決策というのは他人が上手くいった方法であって、その方法で自分も上手くいくとは限りません。

登ろうとしている山も違えば、実際に登る人自身も違います。

自分が登るペースよりも早い人に合わしても、自分よりも遅いペースの人に合わせても、結局他人の方法や手段に合わせれば、自分のペースは乱され逆に疲れたり、転んだり怪我をしたりしてしまう事もあります。

自分のペースで、調子がいい時は早歩きしたり、疲れた時はちょっと休んだりしながら登っていくのが、結果的に早く山の頂上にたどり着けるのではないでしょうか。




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