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第三節 強い相手だと思ったら、戦わない。

p. 140( p.139 - 140 )




そもそも病気とは、何だったでしょうか。

人間が生命活動をする中で、体内に病気の原因が生じてしまう事は避けられないことです。

その小さな病気の原因が、徐々に成長し、大きな病気になると言えます。

しかし、なぜ病気にならない人がいるのかと言えば、それは日々生まれる小さな病気の原因を摘み取るためのシステムが体の中に備わっているからと言えます。

逆に、体のシステムが十分に機能しなければ、病気になるとも言えます。

体のシステムとは、一言で言えば人間のもつ生命力とも言えますが、その生命力が弱ってしまう事によって人間は病気になっているのではないでしょうか。

では、なぜ、現代人を悩ます大きな病気は、現代医療で治すことが難しいのでしょうか。

大きな病気になったということは、生命力が低下しているということになります。

病気が発覚した時点で、患者の生命力は大きく低下しています。

だからこそ、大きな病気になってしまったとも言えます。

つまり、大きな病気になっている患者というのは、病気を治すための力が非常に弱いということです。

弱っている生命力では、いくら治療をしても病気が治ることはないとも言えます。

なぜなら、治療そのものに、病気を治すための力は無いからです。

現代医療における治療とは、病気の進行を止めるためのものであり、病気が一時的に止まっている間に人間の生命力(自己修復機能)によって、病気が自然に治るのを期待するものです。

ということは、病気を抑え込めるだけの生命力が無いのであれば、治療によって、いくら病気を倒したとしても、再び病気は体内で生まれ簡単に大きくなり再発してしまいます。

つまり、病気の黒幕とは、病気になるまで弱ってしまった自分自身の生命力そのものとも言えます。

生命力が弱ってしまったのは、自然界の状態からズレ過ぎた自身の生活習慣が原因であり、そんな生活習慣を送らざるを得なくなったのは、今の人間社会自体が原因の一つとも考えられます。

いずれにしても、自身の生命力が弱り切っていることが、病気が治らない大きな要因ではないでしょうか。

もちろん、すべての病気が、これに当てはまるわけではありませんが、健康な状態で生まれてきた多くの人には当てはまるはずです。

病気になるまで弱ってしまった生命力が病気の黒幕であるのなら、病気が治らないからといって何度も何度も、つらく苦しい治療を繰り返している行為自体は、どうなのでしょうか。

体に負担のかかる治療によって、病気を治すために必要となる自身の生命力を削る行為というのは、行き過ぎれば、それ自体も病気の黒幕になってしまう事さえもあるのかもしれません。

「強い相手だと思ったら、戦わない」という事の真意とは、敵が強く、その敵と戦っても負けるから、逃げてあきらめるという意味ではありません。

戦わなければならない相手ではないから、戦わないということです。

戦わなくてよい敵(つらい治療自体)との戦いで、自身の精神も体力も消耗していては、真の戦いに勝つ事はできないとも言えます。

真の戦いとは、病気を抑え込み治すことのできる高い生命力を取り戻すことです。

医師が患者に対して、運動しろ、タバコを止めろ、脂っこいものを控えろ…というように、時には強い口調で生活習慣の改善を促すことがあります。

患者としては、「医者は、当たり前のことしか言わないな…」 と思うこともあるかもしれません。

しかし、その当たり前のことが、病気を治すために何よりも効果があるからこそ、医師は患者に伝えなければならないことを伝えようとしているのではないでしょうか。




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