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第二節 勝つ意思のある者が勝つ。

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病気を治そうと思うのであれば、必ず治すと自身が思わなければなりません。

すごく当たり前のことですが、とても難しく、だからこそ大事なことであるとも言えます。

スポーツの世界において、メンタルのわずかな違いが試合の勝敗を分けると言われることがありますが、病気を治すことも同じと言えるのかもしれません。

そうは言っても、死ぬかもしれない病気になった人が、深刻に考えずに、悲観的にならずに、ポジティブな感情を保ち続けるというのは非常に難しいものです。

初めのうちは、「絶対に病気を治してやる」という前向きな気持ちを抱いていたとしても、治療による肉体的・精神的ストレスや、状況が一向に改善しない期間が長く続けば、前向きな心が徐々にむしばまれていきます。

人間は慢性的に続くストレスにとても弱いため、心が折れてしまいそうになることもあるかもしれません。

だんだんと、イライラしたり、不安になったり、どうしよう…、もう無理かもしれない…、というような様々な負の感情が心の中に渦巻いてくるとも言えます。

しかし、心を乱し、負の感情を抱きながら病気と闘ってはなりません。

病気に怒りをぶつけたり、悲観的になったりすればするほど、心を乱すほど、ストレスは膨らみ、それに応じて病気を治そうとする体の力は弱っていきます。

そうなれば、病気の思う壺とも言えます。

自らの思考によってストレスを感じ、弱り切った体の中で、病気は爆発的に勢力を増し、病気の症状は急激に悪化することもあります。

戦いにおいて感情的になるということは、まさに自滅するような行為とも言えます。

医師が患者に、病名や余命宣告をしてから、病状が急激に悪くなるケースがありますが、これには患者の気持ちの部分も大きく影響していることもあるのではないでしょうか。

病気を治すためには、常に心を冷静に保つ必要性もあるのかもしれません。

病気を治す時に、どんな治療法をするのかということを真剣に考える人は多いかもしれませんが、心のケアをどうするのかということを真剣に考える人は少ないのではないでしょうか。

しかし、心のケアの重要性を説く医師は少なくはありません。

病気を必ず治す、という気持ちを保ち続けることは、もしかしたら治療法よりも大切なことなのかもしれません。

心の影響は科学的に証明することが難しいため重要視されにくいものですが、本当に大事なことは、人間がまだ理解できていない領域にあると考えることもできます。

世の中には、病気が末期の状態で、もう何をしても治る見込みがないと言われた患者が治ってしまう事があります。

このような時に、人はその出来事を奇跡とも言います。

しかし、本当に奇跡なのでしょうか。

これは、追い詰められても、最後まで病気を治すことをあきらめなかった患者自身の生命力によるものなのではないでしょうか。

生きるか死ぬかの自然界において、生き残ることができるのは、生きる意志を持ったものだけであるとも言えます。

それが、自然の理(ことわり)であり、本来動物である人間も、自然界のルールに従い、生きようとする意志を持ち続ければ、病気を克服できる可能性は高くなるのではないでしょうか。




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