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現代医療の真意は、病気を止めること。

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薬で対処することができない病気もあります。

その場合には、手術という手法が用いられることがあります。

病気の原因となっている物質を取り除いたり、病気の原因を起こさせないように、カラダをいじることで病気を治そうと試みるものです。

手術をすることで病気は治ることがありますが、時間が経つと再発することがあるのは、なぜでしょうか。

手術で病気の原因を取り除いたと言っても、その原因自体が末端の原因であることがあります。

例えば、Eという病気があるとします。

その病気はDというものが原因で起きているとすれば、Dという原因を取り除けばEは治ると言えます。

しかし、再度、原因となるDが生じれば、それによってEは再発します。

もし、Eという病気の全貌が、A→B→C→D→Eという流れで起きているとするのなら、何度Dという原因を手術で除去・解決したとしても、Eが再発するのは避けることができません。

結局は、根本原因となっているAという最上流の原因を解決しなければ、Eという病気を治すことはできないとも言えます。

つまり、手術というものも、病気を一時的もしくは長期的に回避するための一つの手段なのではないでしょうか。

手術をすることが病気を治すことだと考えている場合、手術をして退院すれば病気から解放されたと思います。

ところが、時間が経つと、また手術をしなければならない状況になることもあります。

「手術で病気は治ったはずではないのか」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、手術で問題が解決したのではなく、病気を長期的に止めることで、病気そのものを先延ばしにしている行為に近いのかもしれません。

薬と同様に、手術がした事というのも、あくまでも病気を止めることであると言えます。

何度も再発を繰り返し、もう治療を繰り返すのは終わりにしてほしい、と思っていても、末端原因を解決し続けている限り、治療に終わりが来ることは無いのかもしれません。



現代医療は、「人間の手で病気を治す」という概念によって進歩し続けてきました。

医療を受ける私たちは、病気を治すことができるのが現代医療であるというイメージをもちますが、正確な意味では、治すというレベルにまでは到達していないのかもしれません。

薬や手術以外にも様々な先端医療が生み出されてはいますが、結局突き詰めれば、病気を止めることまでしかできていないのではないでしょうか。

病気そのものを治せるようになってきているわけではなく、病気を止めることで間接的に病気を治すことができるようになっているとも言えます。

そして、その病気の止め方が、どんどん上手くなってきており、病気の症状や進行がすぐに止まるため、医療を受ける側としては現代医療が病気を治してくれていると思うのかもしれません。

間接的にでも病気が治るのであれば、それは病気を治すことであると捉えることもできますし、そうではないと理解することもできます。

いずれにしても、医療の意味を深く理解しておかなければ、何度も治療を繰り返し、病気と闘い続けるということにもなります。

やはり、「現代医療とは、どんな病気も治してくれる魔法というわけではなく、病気を止めるためのもの」という真意を理解しておくことは、とても大切な事なのではないでしょうか。

では、人類が発展させ続けてきた現代医療とは、一体なんなのでしょうか。




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