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第一章|β-グルカンのすべて

7. BRMGの問題点

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BRMGの問題点。


コストがかかりすぎる。

本来は食物繊維としての機能性しかもたないβ-グルカン(β-1,3-1,6-グルカン)に、免疫サポート機能をもたせるためには、受容体に認識される構造まで精製する必要があります。

β-グルカンを精製してBRMGになる。
β-グルカンを精製してBRMGになる。

非常に高度な抽出・精製工程を何段階も重ねる必要があるため必然的に高コストになってしまいます。


BRMGの製造工程。

他の多糖と結合し、細胞壁を構成している場合、熱水抽出やアルカリ処理を行いβ-1,3-1,6-グルカンを分離させる必要があります。それでも他の多糖と結合している時は酵素処理を行う必要があるかもしれません。

分離する過程で水溶性が失われた場合には、化学処理にて水溶性をもたせる必要があります。

β-グルカン(BRMG)の製造方法
β-グルカン(BRMG)の製造方法

このような工程で使用した薬品が、摂取するのに相応しくない場合、取り除かなくてはなりません。また、細胞壁のβ-1,3-1,6-グルカンはタンパク質との複合体で得られることが多く、医薬品として体内に取り入れる場合には、副作用を引き起こさないように異種タンパク質等の不純物を取り除く必要があります。

このように、いくつもの精製工程を経て受容体に認識される形態になって初めて、β-1,3-1,6-グルカンはBRMGとして働くことができます。


機能性のバラツキの問題。

β-1,3-1,6-グルカンは、グルコースが鎖状に幾つもつながった糖鎖です。


参考


そのため、構成単位であるグルコース単位で分解されやすく、抽出・精製する工程において、程度の差はあるものの構造に変化が起こります。また、天然のβ-1,3-1,6-グルカンが持たない原子が付加され、本来とは異なる機能性を示すことがあります。

実際、同一の微生物の細胞壁から抽出方法を変えて得られた各画分間で、機能性に差が生じることや、精製方法によって機能性が失われるということは、多数報告されています。

つまり、生理活性をもったまま取り出すということが非常に難しく、品質にもバラツキが出やすいと言えます。


安全性の問題。

さらに、抽出方法によっては、本来食経験のある原料から、毒性のある物質(発がん性物質等)が一緒に分離されることもあります。

このため、細胞壁から安全でかつ生理活性をもつβ-1,3-1,6-グルカン(BRMG)を含む製品を得るためには、多くの研究を必要とし、実際製造する際にも労力・時間・費用を必要とします。高度に精製されたレンチナンが、その原料であるシイタケとは比較にならないほど、高い付加価値をもち高価なのはこのためです。


機能性と安全性のジレンマ。

機能性をもたせた製品で高い安全性を確保するためには多くの製造工程が必要となり、価格を抑えようとすると機能性または安全性が損なわれる結果となります。


参考