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Column 0071 | 2020.07.17

ワクチンで本当に感染症を止められる?効く、効かない?

ワクチン
ワクチン

Introduction -導入-



感染症が広まると、ワクチンの製造を急がなければならないと言われます。では、ワクチンを作りさえすれば、本当に感染症を止めることができるのでしょうか。


世界は、ワクチンが最も有効な手段と思っている。


世間には、ワクチンさえ作れば、病原体に勝つ事ができるというような空気感があります。

だから、国も製薬会社もワクチンを急いで作ろうとします。なぜなら、人々がワクチンを求めていて、ワクチンの膨大な需要があるからとも言えます。

ただ、冷静になって考えてみれば、ワクチンを打っても意味が無いことは日常でもよくあることです。


ワクチンは、必ず効くというものでは無い。


例えば、インフルエンザを予防しようとしてワクチンを接種しますが、結局、感染・発症して重症化する場合もあります。

ワクチンで病気の発症を防ぐことができる場合もありますが、当然防げない場合もあります。

つまり、ワクチンというのは、病原体に対する絶対的な防衛策ではないとも言えます。


ワクチンとは、病原体そのもの。


ワクチンの中身は何かというと、病原体(ウィルスや細菌など)そのものが入っています。

大きく2種類に分類されます。

1.生ワクチン
生きているけど弱らせた病原体。

2.不活化ワクチン
死んでいる病原体。

どちらが効果があるかと言えば、生ワクチンの方が効果があります。


ワクチンの目的は、抗体を作らせること。


ワクチン(病原体)を体内に入れることで、免疫によって抗体ができます。

一度かかった病気にかかりにくくなるのは、その病気に対する対抗策(抗体)が体内にできているからとも言えます。

ワクチンによって事前に抗体を作らせることができれば、感染症を防ぐことができるようになるという原理です。


抗体とは、超高性能追尾型ミサイル。


抗体は、人間のカラダが持つ最大火力の最終兵器(超高性能追尾型ミサイル)と言えます。

ワクチンによって事前に最終兵器をカラダに作らせておいて、その最終兵器で病原体を倒すという事になります。

このミサイルという表現は、正確な意味合いでは、抗体というものを表現しきれていない部分もありますが、概要に理解するには十分とも言えます。


なぜ、ワクチンは前もって打つのか?


最終兵器となるミサイル(抗体)をカラダが作るのに時間がかかるからです。

ワクチンによって抗体ができるまで

1.病原体を接種させる。

2.免疫細胞が病原体を見つける。

3.カラダが病原体の情報を手に入れる。

4.その情報を基に、抗体を作る。

個人差はありますが、約1週間程度の時間を要するとも言われています。


抗体(ミサイル)は、病原体にだけ当たる。


ワクチンによって、事前に病原体を体に入れておけば、その病原体を倒すため専用のミサイル(抗体)が体内に製造されます。

ただ、このミサイルは人間のカラダのもつ最大火力の最終兵器であるため、もし、病原体以外のものに当たったら大変なことになります。

そのため、正常な細胞に当たらないように、狙った病原体にだけ当たるような超高性能追尾型ミサイルになっています。


病原体が少しでも違うと、ミサイルは当たらない。


自分のカラダへの安全性を考慮した超高性能ミサイルであるがゆえに、事前情報と違う病原体には全く当たらない(効果が無い)とも言えます。

Aという病原体のために作られた抗体は、Aという病原体と少しでも違えば、それは自分の細胞であるかもしれないため、攻撃しないように安全装置が働くようになっています。


病原体は型を変えるから、効かないことがある。


例えば、インフルエンザにおいて、今年はこのインフルエンザの型が流行するだろうと予想してワクチンを打つわけですが、その予想が外れれば効かないという事になります。

特にウィルスのような病原体は進化のサイクルが早いため、どんどん型を変えていきます。

ワクチンを製造するのに一年以上かかるとも言われていますが、その時には既に病原体自体も微妙に変わっている可能性は高いとも言えます。

つまり、ワクチンを製造し、そのワクチンと同じ型の病原体が流行している間は効果があるとも言えますが、病原体自体が少しでも変わってしまっている場合は効かないという事になります。

ワクチンが効きにくくなる流れ

1.病原体Aのワクチンを作る。

2.製造に1年以上かかる。

3.その間に病原体Aは、病原体A‘に変化。

4.作ったワクチンが効果を発揮できない。


病原体の情報が古ければ、意味が無い。


戦いにおいて、情報の鮮度は勝敗を左右します。

ワクチンによって、事前に病原体の情報をカラダに教え、ミサイル(抗体)を作らせますが、その情報が古ければ、作ったミサイルは役に立たないこともあると言えます。

例えば、敵が水に弱いという情報で、水属性のミサイルを作ったとしても、今現在は火に弱いという事であれば、水属性のミサイルでは歯が立ちません。

ワクチンというのは上手くいけば効果を発揮できますが、戦況によっては効果を発揮できないものとも言えます。


急いでワクチンを作れば副作用のリスクも。


薬には副作用があるため、安全性や問題の洗い出しに本来は十分な時間をかけて作るものです。

製造期間を短くして作るという事は、ミスや予想もしないような副作用は、どうしても起こりやすくなる可能性は高くなると言えます。

ただ、世界で感染が広がるような緊急事態時には止むを得ない部分もありますが、急ピッチで製造したワクチンには、より高い問題性があるという事を理解した上で使用するべきなのかもしれません。


結局は免疫を上げておくのが、最善の対応策。


では、病原体に対する対策はワクチン以外にないのでしょうか。

そもそも、ワクチンを打たなくても病気を発症しない人は、年齢に関係なく存在します。

発症するかしないかは、体内に侵入した病原体を抑え込めるかどうかにかかっています。

ミサイル(抗体)は、獲得免疫(第二の防衛策)ですが、自然免疫(第一の防衛策)で抑え込めれば、発症しない人がいるように防ぐことはできると言えます。

結局は、自身の免疫を上げておくことが一番の対策になるのではないでしょうか。


まとめ


免疫を上げるというと難しそうなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、何も特別なことが必要なわけでもありません。

適度な運動、バランスのとれた食事、十分な睡眠、ストレスの発散といった正しい生活習慣で免疫力は向上します。

このような当たり前の生活習慣を送ることが難しいからこそ、現代人の免疫力は低下し、病原体に負けてしまう人も多いのではないでしょうか。

感染症に対して、ワクチン以外に望みが無いとも言われたりもしますが、生活習慣の改善が最も効果があることなのかもしれません。



注意

決してワクチンを否定しているわけではありません。それによって助かる命があることも事実です。

ただ、何かに頼るだけではなく、自分自身でも、できることはあるのではないでしょうか。


Column 0071 | 2020.07.17