大腸癌に良いと言われるサプリメントは世の中にたくさんあります。しかし、本当に大切なことを見失ってはいないでしょうか。
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サプリメントの成分が、ガンを縮小させることは無い?
世間には、サプリメントによってガンが治ったというような話もあるため、まるでサプリメントを飲みさえすれば治るような感覚を持つこともありますが、本当にそうでしょうか。
残念ですが、サプリメントの成分がガン細胞に直接働きかけ、縮小させるようなことはありません。
ガンを治すことができるのは、人間の免疫システムしかありません。もし可能性があるとすれば、免疫を上げるサプリメントですが、あくまでも免疫力をサポートすることしかできません。
大腸がんまで成分が届かない?
大腸の前には小腸があります。小腸は、食べ物の栄養を吸収する場所であり、サプリメントの成分は大腸のガンに届く前に吸収されてしまうのではないでしょうか。
また、吸収された成分が、血液の流れに乗って大腸のガンにまで届くことはあったとしても、分散されるためガンを縮小させるほどの濃度で届くとは考えにくいことです。
ビタミンDは関係ない?
血中のビタミンDの濃度が高いとガンだけでなく多くの疾病リスクが低くなることが示唆されていたりもします。そのため、大腸がんの患者の中にはビタミンDを摂取する人もいます。
しかし、ビタミンDとは皮膚が日光に当たることで生成されるものです。
疾病リスクが低いのは、日中に外に出て日光を浴びている(=運動量が多い)からであり、その結果としてビタミンDの濃度が高いだけなのではないでしょうか。
健康な人のビタミンDの濃度が高いから、サプリで補えば健康になるというのは少し安易な考え方とも言えます。
カテキンは関係ない?
カテキンの、がん抑制メカニズムは、
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①発がん(遺伝子の突然変異)の抑制
②がん成長促進の抑制
③がん細胞アポトーシス(自滅死)の促進
④がん転移抑制
⑤がん組織での血管新生抑制
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これだけ並べると、いかにもカテキンを飲めばガンが治りそうですが、本当にそうでしょうか。
往々にして、こういった効果というのは、実験室での試験管レベルや動物実験レベルの話であることがあります。人間のカラダは複雑で、本当に体の中で何が起きているかは誰にもわかりません。
消費者にとっては、同じ効果が自分のカラダの中のガン細胞に対しても起こると思いがちですが、現実は違います。
日本は、世界でも有数のお茶の消費大国ですが、他国に比べて特別がん患者の数が少ないわけでもなく、むしろ増え続けています。
サプリメントで副作用が出ることもある?
癌には、アガリスクや霊芝といったキノコ類が良いからとも言われます。しかし、そういった商品を飲むことによって、体調が悪くなることもあります。
天然物だからと言って安全なわけではなく、濃縮の工程で発がん性物質などが濃縮されることもあります。
まとめ
人間のカラダは複雑であり、サプリメントを飲んだから簡単に癌が治るわけでもありません。
ガンの治療において大切なのは免疫力(生命力)ですが、本来免疫力を高めるのに特別なことは必要ではありません。
人間のカラダは自然界の生活に近づくほど生命力が高くなるようにできています。なぜなら、カラダの機能は自然の中で生活することを前提に進化してきているからです。
本当に必要なのは、運動・食事・睡眠・ストレスの発散・自然にふれる(自然の中に身を置く)など、ズレてしまったライフスタイルを本来の姿に戻すことではないでしょうか。
自然の理に従い生命力を高める分には何も問題は起きませんが、それからズレたことをすれば予期せぬ問題が生じるリスクは高くなります。
それでも、サプリメントのサポートが必要だと感じる時は、安全性と機能性が間違いなく立証されたものを選ぶべきではないでしょうか。