病原性の高い細菌。
身近な例で言うと、大腸菌やピロリ菌といった病原性の高い細菌のことを意味します。ちなみに乳酸菌はグラム陽性菌です。
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序章|免疫サプリメントについて
3. 様々な免疫サプリメント
02
Introduction -導入-
LPS(リポ多糖)は、グラム陰性菌の細胞壁(外膜)の構成成分です。
LPSが身体に入ると、カラダはグラム陰性菌が体内に入ったと誤認し、免疫系を活性化します。
身近な例で言うと、大腸菌やピロリ菌といった病原性の高い細菌のことを意味します。ちなみに乳酸菌はグラム陽性菌です。
世の中の細菌は、グラム陽性菌とグラム陰性菌の2種類に大別されます。
グラム陰性菌の細胞壁には、外膜がある。
グラム陽性菌は、厚いペプチドグリカン層の細胞膜があります。
逆にグラム陰性菌は、薄いペプチドグリカン層の膜の外側にもう一つ膜(外膜)があります。
グラム陰性菌の外膜には、LPS(リポ多糖)がたくさんくっついています。
LPS(リポ多糖)とは、グラム陰性菌の外膜の構成成分。
LPSは、体内の様々な細胞(免疫細胞など)の表面にある受容体によって認識されます。
※LPSのようなものをPAMPs(病原体関連分子パターン)と言い、細胞表面の受容体をPRRs(パターン認識受容体)と言います。LPSの場合は、TLR-4という受容体に認識されます。
LPSがカラダに入ると、
カラダは、グラム陰性菌が入った!と思って免疫系を活性化します。
免疫細胞などの受容体は、人間の目、耳、鼻などにあたるセンサーの役割をしていますが、
実際には目視で確認しているわけではないので、受容体にLPSがはまるだけで、誤認してしまいます。
サイトカインという情報伝達物質(タンパク質)を使用し、他の細胞間と連絡を取り連携しています。
LPSを見つけた免疫細胞自体も、存在しないグラム陰性菌をやっつけるために活性化しますが、同時に「病原体が侵入した!」という信号をカラダに送ります(警察や軍隊などの応援を呼ぶ)。
簡単に言えば、「病原体がカラダに入ってきたので、みんなでやっつけよう!」という話です。
グラム陰性菌の外膜にLPSがくっついているので、まずは、グラム陰性菌を培養してたくさん増やします。
増やしたグラム陰性菌に熱を加えて殺菌すると、菌の外膜からLPSが外れて遊離します。
LPSは熱にも強く安定した化合物であるため、遊離したLPSを抽出・回収してサプリメントにしています。
①グラム陰性菌(パントエア菌など)の発酵培養→②培養液を熱殺菌し遠心分離→③上澄みをろ過(活性炭処理、セライトろ過、膜ろ過)→④スプレードライ(噴霧乾燥)により粉末化。
グラム陰性菌自体は、病原性の高い大腸菌やピロリ菌などの細菌ですが、大腸菌を培養するわけにはいかないので、パントエア菌※などを培養してLPSを作ります。
※パントエア菌というのは、果物や野菜、穀物などに存在するグラム陰性菌であり、日常的に食べる菌です。日常的に食べる菌のLPSも、大腸菌のLPSも、LPSには変わりなく、カラダは病原体として認識します。
動物に人が摂取する量の何倍もの量を与えても問題がないと言われています。
本来、LPS(リポ多糖)は、カラダにとっては毒。
LPS(リポ多糖)はエンドトキシン(内毒素)とも呼ばれます。LPSにより免疫系が過剰に反応すると、エンドトキシンショックという多発的に重要臓器が機能不全の病態に陥ります。
ただし、細菌から分離したLPSを経口摂取した場合は、細菌自体のLPSとは異なり、血液中に入ることも無いので、そのような問題はないと考えられています。
LPS自体は、食用植物(野菜、果物、穀物など)にも付着しており、微量ながら自然に食べているものですので、健康維持を目的としたサプリメントの飲用で問題が起こる可能性は低いと言えます。
ただ多量摂取する場合などは、自然界でのLPSの摂取とは異なる状態になります。安全だと言われてはいますが、上記のような問題があるということは認識しておく必要はあるのかもしれません。
LPS(リポ多糖)は、病原性の高い細菌の細胞膜(外膜)の構成成分です。それを体内に入れると、カラダは病原体が入ったと思って、当然、免疫系を活性化して問題を解決しようとします。
このようなメカニズムを利用した免疫サプリメントの一つとしてLPSは利用されています。