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Column 0060 | 2019.08.14

β-1,3-1,6-グルカンでは、免疫は上がらない?

レンチナンの分子構造
レンチナンの分子構造

市場で目にする免疫賦活成分β-グルカン。その中でもβ-1,3-1,6-グルカンが良いと言われていますが、 β-1,3-1,6-グルカンだから必ずしも免疫を上げるわけではありません。



β-1,3-1,6-グルカンは、免疫を上げるβ-グルカンの代名詞ではない。


市場には、β-1,3-1,6-グルカンであれば、免疫を上げてくれるというような空気感がありますが、実際にはそうではありません。

β-1,3-1,6-グルカンというのは、たった一つの化合物を示した言葉ではなく、分子構造の特徴を意味した分類名称に過ぎません。

例えば、「車」という大きな分類の中に、乗用車、トラクター、F-1のようなスポーツカー、赤ちゃん用のおもちゃの車、馬車なども含まれます。

同じように、 β-1,3-1,6-グルカンという分類の中に、様々なβ-1,3-1,6-グルカンが存在しています。


β-1,3-1,6-グルカンでも、ただの食物繊維はある。


β-1,3-1,6-グルカンに分類されていれば、必ず免疫を上げれるというわけではなく、基本的にはβ-1,3-1,6-グルカンは食物繊維であるため、食物繊維としての機能性しかもたないβ-1,3-1,6-グルカンがほとんどを占めます。

しかし、医薬品のレンチナンやシゾフィランなど一部のβ-1,3-1,6-グルカンは免疫賦活作用もあわせもちます。この一部のβ-1,3-1,6-グルカンのおかげで、「β-1,3-1,6-グルカンが免疫を上げる」という話が市場で広まっています。

市場にはたくさんのβ-1,3-1,6-グルカンの商品が存在しますが、ほとんどはただの食物繊維かもしれません。スーパーに並んでいる野菜(食物繊維)を高いお金を出して購入しているのと同じ事であるとも言えます。


どんなβ-1,3-1,6-グルカンが免疫を上げる?


免疫を上げるための要素として、 β-1,3-1,6-グルカンの分子量や分子構造、立体構造など様々な要因が考えられます。

しかし、「○○のようなβ-1,3-1,6-グルカンであれば、免疫を上げるかもしれない」という可能性は言えても、「○○のようなβ-1,3-1,6-グルカンであれば、必ず免疫を上げる」という断言はできません。

つまり、絶対的な条件というものは存在せず、ヒトで臨床試験をしなければ、免疫が上がるβ-1,3-1,6-グルカンかどうかは分からないということです。


まとめ


市場に存在するβ-1,3-1,6-グルカンの多くの商品は、膨大なお金をかけて大学病院や市民病院のような公的医療機関でヒトで臨床試験をしているのでしょうか。

科学的根拠に乏しい商品であれば、病院の倫理委員会の審査を通過することもできません。よほど科学的根拠があり、安全性の立証された商品でなければ、病院側は、患者に臨床試験の協力を依頼することもできないとも言えます。

つまり、市場の多くの商品は、 β-1,3-1,6-グルカンに分類されるものではあっても、それは免疫を上げることはない、ただの食物繊維を売っているのではないでしょうか。

β-1,3-1,6-グルカンなら免疫が上がると思い込んでいる消費者の購買意欲を上手にあおっているとも言えます。

免疫が上がるかどうかを確認しないβ-1,3-1,6-グルカンであれば、比較的安価に簡単に作ることができます。

特に健康食品市場は、本当に消費者のことを考えた業者だけが商品を販売しているわけでもありません。


Column 0060 | 2019.08.14