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第二章| ソフィβ-グルカンのすべて

7. その他

02

β-1,3-1,6-グルカンの含有量の測り方(新規定量法:特許)


はじめに。

これまでβ-1,3-1,6-グルカンの含有量は測定することができませんでしたが、特許技術により測定が可能になっています。その新規測定法について解説します。

まずは、従来のβ-グルカンの定量法からおさらい。


従来法


1.α-グルカンの除去

検体を酵素処理し、α-グルカンだけを分解したのち、沈殿により検体からα-グルカンを取り除きます。

β-1,3-1,6-グルカンの定量法
β-1,3-1,6-グルカンの定量法

α-アミラーゼ、プロテアーゼ、アミログルコシダーゼなどの酵素を用いて処理します。


2.β-グルカンの総量を測定

α-グルカンを除去した検体を、硫酸でグルコースの状態まで分解します。生じたグルコースの量からβ-グルカンの総量を計算します。

β-1,3-1,6-グルカンの定量法
β-1,3-1,6-グルカンの定量法

なぜ、β-グルカンの総量しか量れないのか。

硫酸でグルコースの状態にまで分解するときに、すべてのβ-グルカンが分解されてしまうからです。つまり、β-1,3-1,6-グルカンを特異的に分解することができれば、β-1,3-1,6-グルカンの量を測定することができるということになります。


β-1,3-1,6-グルカンだけを分解するには2つの酵素が必要。

β-1,3-1,6-グルカンは、β-1,3結合とβ-1,6結合にてグルコースが連結した物質であり、構成しているグルコース量を測定するためには、この2種類のβ-結合を加水分解する必要があります。

他の結合を分解せずβ-1,3-1,6-グルカンのみの量を測定するためには、β-1,3結合を特異的に分解する酵素であるβ-1,3グルカナーゼと、β-1,6グルカナーゼの両方が必要となります。

β-1,3-1,6-グルカンの酵素分解(β-1,3-グルカナーゼとβ-1,6-グルカナーゼ)
β-1,3-1,6-グルカンの酵素分解(β-1,3-グルカナーゼとβ-1,6-グルカナーゼ)

条件を満たす分解酵素の発見。

上記の条件を満たしいていたのが、新たに土壌中より単離したCeriporiopsis sp. の1菌株が産生するβ-グルカナーゼでした。この菌は、菌体外にβ-1,3-グルカナーゼとβ-1,6-グルカナーゼの両方を分泌し、この両酵素をβ-1,3-1,6-グルカンに反応させると完全にグルコースまで分解されることが示されました。

酵素反応によって加水分解され、生じたグルコースを定量することで、 β-1,3-1,6-グルカンを直接測定することが可能となりました。

本酵素は、ソフィβ-グルカンと反応性の高い酵素になります。


新規定量法


1.α-グルカンの除去

上記の従来法と同じ原理で、α-グルカンのみを除去します。


2.β-グルカンの総量を測定

従来法とは異なり、β-1,3-1,6-グルカンのみを分解できるので、それにより生じたグルコースの量を測定することでβ-1,3-1,6-グルカンのみの量を定量することができます。

β-1,3-1,6-グルカンの酵素分解(β-1,3-グルカナーゼとβ-1,6-グルカナーゼ)
β-1,3-1,6-グルカンの酵素分解(β-1,3-グルカナーゼとβ-1,6-グルカナーゼ)

β-1,3-グルカナーゼとβ-1,6-グルカナーゼで酵素処理します。


新規定量法は特許技術。

β-1,3-1,6-グルカンが正確に測定されたβ-グルカンは、ソフィβ-グルカンだけであり、市場に存在するβ-グルカン商品の中で含有量を信用できるのはソフィβ-グルカンの商品だけであるということになります。

特許第5467251 「β-1,3-1,6-グルカンの定量方法」