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Column 0064 | 2019.08.18

がん(癌)に良い食事は、逆に治療に悪影響が出る?

食卓
食卓

手術後や抗がん剤などの治療中に、特別な食事(菜食主義など)をしなければならないと思いがちですが、無理な食事制限は逆効果になることもあります。



極端な食事制限は、免疫力を下げる?


ガンになると食事に気をつけようとする人は多くいます。健康的な食事というと、菜食、玄米、精進料理、薬膳料理など様々あります。

ガンを治さなければならないと思い、これまでの食事を急激に変える人もいます。しかし、それが逆効果になることもあります。

人間は急激な環境の変化にストレスを感じやすい生き物です。癌を治すためとは言え、自分が食べたいものが食べれなかったり、食事自体の幸福感や楽しみがなくなると、患者にとっては大きなストレスにもなります。

がん患者にとって免疫力は非常に重要な要素ですが、その免疫力はストレスの影響により大きく低下します。

つまり、せっかく手術でガンを摘出したり、抗がん剤で小さくしても、患者の免疫力が弱ってしまっては、ガンを抑え込むことができずに、逆に再発してしまうリスクを高めてしまうということになります。

がん患者の治療にとって一番大切なことは、いかに早くガンを抑え込むことのできる本来の免疫力(生命力)を取り戻すことができるかにかかっているとも言えます。


無理な食事制限で体重が減る?


手術で胃を摘出したり、抗がん剤などの治療をすると、患者は食欲不振になることがあります。

その影響から、ある程度は体重が減ることはありますが、医師が想定していたよりも減る場合があります。これも、患者自身が無理な食事制限を始めたことが原因となっている可能性もあります。


体重が減ると、生存率が下がる?


十分な栄養が足りずに体重が減ると、それに連動して筋肉量も減ってきます。カラダは、必要なエネルギーを、筋肉から捻出しようとします。

筋肉の収縮によって、体温の約40%の熱が生じているとも言われています。体温が下がると免疫力も低下します。免疫細胞は体温が高いと活発に活動することができますが、逆に体温が低いと活性は低くなります。

つまり、体重が減り、やせ細ってくると、必然的に免疫力も低下するということになり、その結果として生存率は低下します。

だからと言って無理やり食べれば、カラダに負担がかかったり、逆にストレスになることもあるため、自然の流れに身を任せることが大切ではないでしょうか。


食べたいものを食べるべき?


治療中で、食欲不振や弱っている時というのは、回復するまでは食べたいものを食べた方がいいとも言えます。

ただでさえ食欲不振で食べれなくなっているため、まずは食べれるものや食べたいと思うものを食べ、体力を低下させないように回復させていくことが大切です。健康的な食事は、体力が回復してから徐々にしていくべきなのかもしれません。

もちろん食べたいものと言っても、カップラーメンや外食、サプリメントなどの加工食品ばかりではあまりよくありません。たまに気分転換として食べるのは良いことですが、基本は一般的な家庭の料理でいいのではないでしょうか。


生ものは食べれないのか?


抗がん剤の治療によって免疫力が低下するため、生もの(刺身や野菜、ヨーグルトなど)を控えるように医師に言われることがあります。

その理由は、免疫力が弱っているため、生ものなどに含まれる菌に負けてしまうリスクがあるからとも言えます。

しかし、体力が回復してきて食べても問題ないようであれば徐々に食べた方がいいと言えます。本来は生ものから摂れる成分も体にとっては重要なモノであり、体力の回復にとっても大切なものです。


まとめ


「食事でガンが治った」というような題名の本が世間ではよく売れます。売れるから、そういった本が沢山出ている状況でもあります。

そのため、癌患者は、ガンを治すためには食事を変えなければならないと考える人も少なくはありません。

しかし、食事にこだわるあまりに治療後の回復が遅れたり、治療自体に悪影響が出る場合もあります。ご自身が食べなれた、ごく普通の食事の方が良い結果を生むこともあります。

食事は健康のための大切な要素ではありますが、食事だけでガンが治るわけでもないのではないでしょうか。

ガンの克服に大切なのは、カラダのもつ生命力(免疫力)を高くすることとも言えます。

自然界の動物は、生き物としての高い生命力をもっています。動物は、特別な食事をすることで高い生命力を保っているのでしょうか。

動物は、ごくありふれた自然な食べ物を食べ、運動し、十分な睡眠をとり、人間社会のようなストレスを溜めることも無く、自然の中に身を置き、適度に病原体に触れることで高い生命力を維持しているのではないでしょうか。

必要なことは、自然界の生活からズレ過ぎたライフスタイルそのものを本来の状態に戻すことなのかもしれません。食事とは、戻さなければならない要素の一つではないでしょうか。


Column 0064 | 2019.08.18