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Column 0055 | 2019.08.09

抗がん剤を拒否できなくなったら、死を受け入れる方がいい?

抗がん剤
抗がん剤

抗がん剤を拒否し続けても、抗がん剤に頼らなければならない状況になることがあります。その時に受け入れなければならないのは何なのでしょうか。



抗がん剤を拒否できない状況とは?


ガンの再発・転移の箇所が増えすぎて、手術や放射線で一つづつ叩いていたのでは間に合わなくなることがあります。

そこで、抗がん剤による全身治療の必要性が出てきます。薬であれば、全身に回すことができるため、治るかどうかは別として、転移した複数のガンに対して効果を期待することができます。

いくら再発・転移していようが、患者のカラダが元気で日常生活にも支障がない間は、患者の気持ちも強く、抗がん剤をどうしてもしたくない人は抗がん剤を拒否できます。

一方、癌の影響で、日常生活や生命維持に支障が出始め、命の危険を感じ始めると心も弱り、抗がん剤に頼らなければならないのではないかと思い始めます。

つまり、「抗がん剤をしないと死ぬのではないか?」と患者が考え始めた瞬間に、抗がん剤を拒否できない状況は生まれているとも言えます。


可能性を信じた多くの人が死んでいる。


ガンと宣告され何年も抗がん剤を拒否し続けた人でも、癌が数多く再発・転移し、生命の危機を感じれば、抗がん剤の選択肢が頭をよぎります。

「どんなに治る確率が低くても、可能性があるのであれば挑戦しよう。」というのが患者の気持ちではないでしょうか。

しかし、厳しい言い方にはなりますが、現実は容赦なく、多くの人が亡くなられています。


一時的に止めることはできても、治せない?


抗がん剤を使用し、一時的に数値が下がったり、癌が縮小することはあるかもしれません。

しかし、何か所も再発・転移している場合は、癌を抑え込む患者の免疫自体がさらに弱り始めたことを示唆しています。

時間が経てば、患者自身の免疫や抗がん剤の抑制から解放されたガンは、またすぐに大きくなります。抗がん剤による免疫細胞の減少や、脱毛・吐き気といった副作用による精神的・肉体的ストレスによっても免疫細胞の活性は低下します。

患者のカラダは、抗がん剤によって、どんどん癌を抑え込むことができない状態へと変化していきます。


まとめ


自分自身で生命の危機を感じ、抗がん剤を拒否できなくなった時点で、死を受け入れなければならない時が来ているのかもしれません。

当たり前のことですが、人は必ず死にます。拒否し続けた抗がん剤を受け入れ最後の希望をたくすのか、死を受け入れ残された時間を過ごすのか、人間のカラダのもつ可能性にかけるのか、何を選ぶのかは自由です。

そして、人により価値観も、何を優先するのかも異なるため、どのような選択が正しいということもありません。また、未来がわからない以上、何が正解かも、誰にも分りません。

ただ一つ言えるのは、自分が一番正しいと思う選択をすることです。他人が良いという選択肢ではなく、自分の心の中にある選択肢を選ばなければ、必ず後悔するのではないでしょうか。

しかし、それでも筆者は、人間のカラダのもつ可能性にこそ、医療の未来は存在すると信じています。


Column 0055 | 2019.08.09