現代人の5人に1人は不眠の悩みを抱えているとも言われています。どうして眠れなくなるのでしょうか。
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そもそも、なぜ人は眠れるのか?
人間のカラダには自分の意志とは無関係に働く自律神経があります。その自律神経には2種類あり、起きている時に優位に働く交感神経と、寝ている時に優位に働く副交感神経に大別されます。
寝ようとするときには、横になり身体を休め、リラックスした状態が継続することで、自然と自律神経は副交感神経優位な状態へと切り替わっていきます。
逆に、切り替えがうまくいかないと、なかなか眠れなかったり、途中で起きてしまったり、眠りが浅くなってしまったりと、様々な睡眠障害が生じることになります。
眠れなくなる真意とは何か?
本来、副交感神経が優位になる(眠る)ということは、脈拍が遅くなったり、気管が収縮したり、呼吸が抑制されたりと、様々な意味で無防備な状態になります。
そのため、安全が確保された状況(リラックスできる状態)でなければ自律神経の切り替えがうまくいきません。自然の中で生き残るための本能的な仕組みであるとも言えます。
つまり、自分の身に危険があるような状況(リラックスできていない状態)では、人間は安心して眠ることができないようになっているということです。
もし眠れたとしても、すぐに危険に対処できるように眠りは浅くなっています。だから、夜中に目が覚めたり、短時間睡眠で早く起きたり、寝ているはずなのに疲れが取れなかったりするのかもしれません。
未来に不安があると、なぜ眠れないのか?
人間が将来に不安を抱き、様々なことを想定し悩む行為は、将来のリスクを最小限にできるようにするための本能的なリスク回避行動です。
しかし、このようなストレス状態は、自然界における「自分の身が危険にさらされている」のと同じような状態をカラダの中に作ります。
つまり、「今ぐっすり眠ってはならない状況に置かれている」とカラダは判断します。そのため、カラダ自身が自律神経の切り替えを拒むことで、眠れなくなっているとも考えられます。
ストレスの慢性化する現代人にとって、不眠とは起きて当然の現象なのかもしれません。
まとめ
眠れない原因は、加齢、運動量の低下、加齢に伴う各種疾病の影響など様々なことが関係しています。
しかし、自然界には存在しない人間社会特有のストレス(過去への後悔、現状への不満、将来への不安、人間関係の悩みなど)によって不眠が引き起こされている可能性もあります。
対策としては、運動や食事などの生活習慣の改善から取り組むべきですが、それでも改善しない場合は、心のケアが不眠の解決策になるのかもしれません。
また、十分な睡眠がとれなければ、カラダの免疫力も低下し、風邪を引きやすかったり、老化を早めたりと様々な問題も生じるリスクも高くなります。ストレスの発散は、健康にとって非常に大切な要素と言えます。