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Column 032 | 2019.07.16

認知症は、加齢に伴う免疫低下が根本原因?

認知症の人の脳の萎縮
認知症の人の脳の萎縮

認知症は、患者本人だけでなく周りの家族にとっても大きな悩みとなる疾病ですが、その原因には免疫が関係しているのかもしれません。

認知症は病名ではなく、症状の総称。


認知症と言っても、様々な病気があります。多様な病気の症状を総称して認知症と呼んでいます。



例えば、

・アルツハイマー病
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
・血管性認知症
・甲状腺機能低下症
・慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、脳腫瘍など



認知症の60~70%は、一般的にも良く知られているアルツハイマー病が占めています。

また、加齢とともに進行することや、家族が認知症でも発症しない人が多いことからも、遺伝の影響である可能性は低いと考えられています。


主な原因は脳の萎縮にある。


認知症の多くは、脳の一部が委縮することにより症状が起きています。

その他、血管が詰まったり、血腫などにより脳組織が圧迫されたりするなど、多様な原因により脳の機能が低下することでも症状は起きています。


なぜ、脳は委縮するのか?


今現在わかっている原因は、脳内に蓄積する異物(タンパク質のゴミ)です。蓄積された異物(アミロイドβ、リン酸化タウたんぱく等)が、脳神経細胞の破壊に関与しています。

本来、このような異物は日々分解されて消えるものです。しかし、何らかの原因によって分解除去されずに溜まっていくことで問題が生じています。

問題となる異物が溜まる原因は分かっていませんが、例えば、アミロイドβの場合は、一般的に認知症の人は50歳前後で蓄積が始まり、70歳ごろに発症するとも言われています。


なぜ、免疫が関係するのか?


脳の組織を破壊するような致命的な物質を除去できる機能がカラダに備わっていないとは考えにくく、日々除去できているからこそ認知症にならない人がいます。

体内の異物の除去を担っているのが、免疫システムです。ウィルスや細菌などの病原体や日々生まれるガン細胞を除去したり、血管が詰まらないようにキレイにしたり、体内に存在してはならないものを取り除くのが免疫系の根本的な働きです。

免疫系によってカラダがキレイな状態を保っているからこそ、人間は病気にならずに健康な状態を維持することができています。

つまり、認知症の原因物質の除去に免疫系が深く関わっていてもおかしくはありません。また、年齢とともに免疫力が低下することも、加齢による認知症の増加傾向を支持しています。


まとめ


認知症は、様々な要因によって引き起こされるものではありますが、加齢に伴う免疫力の低下によって起きていると考えることもできます。

免疫力というと、風邪を引かなかったり、癌にならないための力であるという認識がありますが、本来の働きから考えれば、人間のありとあらゆる健康問題を予防し解決するための力であるとも言えます。

免疫システムとは、生命が長い年月をかけて進化させ到達した、健康問題解決テクノロジーです。

認知症を予防し、進行を遅らせるためにできることは、薬を飲むだけでなく、免疫力を高めることも重要な要因となるかもしれません。

そして、免疫力を高めるために重要なことは、特別なことではなく、運動・食事・睡眠の正しいサイクルとストレスの発散です。本来の自然界の生活に近づけば近づくほど免疫力(生命力)は高まるように人間のカラダはできています。


Column 032 | 2019.07.16