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Column 025 | 2019.05.27

妊娠中の風邪。薬を使わず、会社を休まず早く治す方法。

妊婦と赤ちゃん
妊婦と赤ちゃん

妊娠中でも、どうしても働かなければならないこともあります。

仕事で忙しく休むことができない人のために、できるだけ早く治せる方法を解説します。

休んだ方がいいのは分かっているけど…


風邪を治すためにはゆっくり休養をとるべきです。

しかし、仕事が忙しくて、食事がおろそかになったり、睡眠時間が確保できない場合もあります。

妊娠初期で薬は使いたくない…


早く治すのに薬を使いたいけど、妊娠初期の大事な時期で、赤ちゃんのために薬を飲みたくない時もあります。

妊娠4~15週は、赤ちゃんのカラダが重要な器官を作る時期。

風邪を抑え込める力がなければ、風邪は治らない。


体内で増殖する風邪のウィルスを抑え込めなくなったから風邪になっています。

ウィルスの増殖をカラダが抑え込めるまで風邪の症状は続きます。

風邪が治るかどうかは、免疫にかかっている。


免疫でウィルスを抑え込めれば風邪は治るし、抑え込めなければ長期戦になり、風邪はなかなか治りません。

免疫細胞
免疫細胞

白血球である、NK細胞やマクロファージ、樹状細胞などの免疫細胞が免疫システムを担っています。

薬が飲めないから、風邪を早く治せないわけではない。


妊娠中で赤ちゃんのために薬を飲むことができない。だから、病気を早く治せない。

そう考える人もいるかもしれませんが、実際にはそうではありません。

薬で風邪は治らない。


風邪薬では、ウィルスの増殖を止めることはできず、風邪のつらい症状を一時的に止めることしかできません。

風邪薬で治ったと感じるのは、つらい諸症状が緩和されるからです。

薬を飲んで熱が引いても、カラダが変な感じがするのも、無理に症状を止めているだけで、本当は風邪がまだ治っていないからです。

薬で症状を止めた方が、治りが遅くなる。


本来、風邪の症状は風邪を治すためにカラダが出しています。

それを薬で強制的に止めることは、病気を治そうとするカラダの働きを邪魔していることになります。

風邪の症状には、すべて意味がある。


発熱、咳き、のどの痛み、鼻水などの風邪の症状は、ウィルスが起こしているわけではありません。

ウィルスを効率的に早く除去できるように、カラダ自身が自発的に起こしているものです。

鼻水・咳きは、ウィルスの侵入防止。


鼻水や咳きは、これ以上、体内にウィルスが侵入してもらっては困るためカラダが出しています。

のどの痛みは、早く風邪を治すため。


のどが炎症し痛くなるのも、患部の血流を良くして、ウィルスを倒す免疫細胞を患部に集中させることが目的です。

のどの粘膜は、ウィルスが侵入しやすい場所です。

発熱も、早く風邪を治すため。


ウィルスを攻撃する免疫細胞は、体温が高いほど活発に活動することができます。

そのため、カラダは体温を上昇させることによって、より早くウィルスを撃退できるようにしています。

免疫細胞は体温が高いほど活発になる。
免疫細胞は体温が高いほど活発になる。

参考論文 Redox signal-mediated sensitization of Transient Receptor Potential Melastatin 2 (TRPM2) to temperature affects macrophage functions Makiko Kashio, Takaaki Sokabe, Kenji Shintaku, Takayuki Uematsu, Naomi Fukuta, Noritada Kobayashi, Yasuo Mori, Makoto Tominaga 米国科学アカデミー紀要Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(電子版)2012年4月9日

カラダにすべて任せた方が、治りは早い。


どうしても風邪の症状がつらい時は、薬に頼らなければなりません。

しかし、我慢できるのであれば、何もせずカラダに全て任せた方が早く治ります。

注意


ただし、風邪が長引いたり、不安になるようであれば、医師に相談し妊娠中でも飲める薬などを処方してもらうべきです。

ストレスで免疫は低下します。風邪のつらい症状がストレスになるようなら薬で症状を止めた方が早く治ります。症状が緩和されれば、精神的にも安定します。

問題なのは、仕事に行きながら治すこと。


そもそも、風邪が治るメカニズムは、増殖するウィルスをカラダの免疫で抑え込めるかどうかです。

つまり、カラダに無理をすればするほど、病気を治そうとする免疫力は弱るため、治すのが難しくなります。

カラダは、休んでほしいと思っている。


カラダは、ウィルスのせん滅に集中し、戦いが長期化する前に一気に肩を付けたいと思っています。

そのため、カラダをだるくさせたり、食欲を減退させ、できるだけカラダを動かせずに休ませようとします。

しかし、休まず仕事に行かれると、戦いに集中できません。当然、それでは勝てないため、風邪がなかなか治らないということになります。

風邪を早く治すために。


理想を言えば、一日でも休んで、ウィルスの増殖レベルが小さな段階で一気に治してしまう事です。

免疫をサポートする以外に方法は無い。


風邪はカラダの免疫でしか治すことができないため、できることは免疫を高めるか、免疫がウィルス除去に集中できる状況を作ることになります。

免疫を上げる方法。


人間のカラダは、自然の中で生活することを前提に進化してきた生き物です。

つまり、自然界の生活スタイルに近づければ近づくほど免疫は上がります。

免疫の上げ方は、シンプル。


基本は、以下を行うことにより免疫は上がります。

  • 運動
  • 食事
  • 睡眠
  • ストレス発散

そして、自然界には、ウィルスや細菌などの病原体がたくさん存在しますが、過酷な自然の中に身を置くことによっても免疫は上がります。

自然界の動物は、生き物としての高い生命力(免疫)をもっています。過酷な環境の中で生活し、それに適応しようとしてカラダが免疫を上げています。これが、生物の環境適応能力です。

会社を休まずに治すために。


会社を休めない時点で、非常に忙しく運動・食事や睡眠に時間をかけることができないことが推測されます。

また、ストレスも慢性化しており、ストレスの発散自体も非常難しいと思われます。

現実可能な方法として以下の2つを提案します。

食欲のない時は食べない。


赤ちゃんのためにしっかり食事をとろうとするママは多いかもしれません。しかし、風邪の時に食欲がないのに無理に食べると治りが遅くなります。

風邪を引いた時の食欲減退にも意味があります。食事の消化吸収には多くのエネルギーを使います。カラダがウィルスの除去に全力を出すために、食欲を低下させ、余計なエネルギーの出費を抑えようとします。

多少食べなくても赤ちゃんに問題は起こりません。むしろカラダの自然な流れを無視すると問題が生じます。

免疫サプリメントを使用する。


運動が苦手な人。ストレスの発散が大切なのはわかっていても、自分では発散できない状況だから慢性化しているのであり、何をしても発散自体ができない人。

人によって免疫を上げたくても上げれない状況の場合もあります。そのような時はサプリメントにより免疫をサポートすることも一つの方法です。

科学的根拠があり、かつ安全性の立証されたものなど、妊娠時でも使用できるものが最適です。

免疫を上げて赤ちゃんに影響はないのか?


ママにとっては赤ちゃんは異物であるため、異物を攻撃する免疫力を上げると良くないように思う方もいるかもしれません。

しかし、人間のカラダには、赤ちゃんに悪影響が無いように部分的に免疫を弱め調節することで問題が起こらないようにするシステムがあります。

適度な運動・食事・睡眠や、自然の中で接触する病原体(ウィルスや細菌など)によって自然に免疫力は上がります。

このように自然の理(ことわり)から外れていない場合は、問題が起こらないようにバランスを取りながらカラダは自然に免疫を上げてくれます。

※サプリメントも、強制的ではなく自然に免疫を向上させるタイプのものがあります。

まとめ


問題は、カラダの生命力(免疫)そのものにあるため、無理をすればするほど、風邪は長期化します。

本来は、風邪を早く治すためには、仕事を休み、しっかりと休養をとることが、ご自身にとっても赤ちゃんにとっても一番良いことです。

そして、症状がつらく我慢できない時は、自分で判断せず、医師に相談することも大切なことです。

Column 025 | 2019.05.27