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Column 022 | 2019.05.13

何度、新しい薬に変えても病気が治らない理由。

薬
薬

画期的と言われて新薬が登場し、期待していたほどの効果が無かったり、予期せぬ副作用が出て忘れ去られ、また別の新薬が登場する。このようなことを何十年も繰り返している。

薬を飲んでも治らない…。


病気になった人は、藁にもすがる気持ちから、新しい薬を飲めば…、日本では認可されていない薬を飲みさえすれば病気が治ると思って治療を試みるが、実際には希望した薬を飲んでも病気が治らないことは少なくない。

薬を変えても治らない…。


一度治らなかったとしても患者はあきらめることは無く、前回の薬が効かなかっただけだから…、別の新しい薬なら治せると思い、何度も何度も薬を変えて治そうとする。

しかし、何度も期待が裏切られることも少なくない。

期待が裏切られても次の薬を求める。


何度も期待が裏切られたとしても、患者は「薬では病気が治らない」とは思わない。患者の頭の中に存在しているのは、「薬で病気が治る」というゆるぎない概念であり、その考えが別の新しい薬を求める原動力になっている。

現代社会において薬は、飲むだけで病気が治ってしまう魔法のような扱いを受けているが、実際のメカニズムはそうではない。

薬は病気を止めるためのもの。


本来、薬は、病気のつらい症状を緩和したり、病気の進行を一時的に止めるためのもの。それぞれの薬により病気を止めるためのメカニズムは異なるが、「病気を止める」という大きな概念は変わらない。

薬で期待した効果が出ないのは当然。


画期的な新薬であっても、薬である以上、病気を止めることが主な働きであって、病気を治す魔法ではない。また、予想していたよりも効果が出ないのは、人間の予想自体がはずれているからである。

完璧に起こりうることを想定できていれば、想定通りに物事は運ぶし、問題が起こることも無い。しかし、人間のカラダはまだ不明な点も多いブラックボックスのようなものである。すべてを理解できていないから予想が外れるのである。

何度、薬を変えても同じこと。


薬が変われば効果も変わると思われるが、病気を止めるという基本的な概念が変わらない以上、病気の止め方が変わっているだけであると言える。

また、一番初めに使用する薬は最も効果があると考えられるものを使用しているはずである。それで結果が出ない場合には、考え方そのものを変える必要性がある。

病気を治しているのはカラダそのもの。


薬で病気が止まっている間に、人間の身体自身が病気を治すことで病気は治っていく。病気が止まれば、まるで病気が治ったかのように思えるため、薬で病気が治ると錯覚しているとも言える。しかし、実際に病気を治しているのはカラダである。

例えば、風邪薬を飲んで風邪が治るのは、一時的に弱っていたカラダが時間とともに病気を治せる力を取り戻すからである。その力によって治っていく。

病気が治らないのはカラダが弱っているから。


大きな病気であっても治る原理は変わらない。しかし、大きな病気になるということは、カラダの力が慢性的に弱っていることが原因であるため、薬で病気を止めたとしても、病気を治せる力が弱っていたり、力が残っていないから治すのが困難なのである。

薬を飲んだからといって、病気を止めることはできても、弱ったカラダを病気を抑え込める強いカラダに戻したわけではない。カラダは何も変わっておらず弱いままである。

病気を治すとは、カラダを強くすること。


病気のつらい症状や急激に進行する病気を、一時的に止めるために薬を使うことは必要なことではあるが、病気を止めただけでは病気は治らない。

軽度の病気であれば自然にカラダの力は回復していくが、慢性的に弱ってしまっている場合(大きな病気の場合)は、その弱ってしまったカラダを強くする必要がある。

つまり、病気を治すということは、唯一病気を治すことのできるカラダそのものを強くすることである。

Column 022 | 2019.05.13