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Column 021 | 2019.05.09

カラダが壊れたら、もう病気を治せない理由。

免疫細胞
免疫細胞

病気を治す白血球群


薬や手術によって病気が治っていくのではなく、あくまでも病気を治すことができるのは人間のカラダしかない。そのカラダのシステムが壊れてしまえば、病気が治ることはない。

薬や手術の真意は、病気を止めること。


急激に進行していく病気の場合、何とかして病気を一時的に止めなければならない。そのために薬や手術といった手段を用いている。病気を止めている間に、カラダが病気を治してくれることを期待するのが、薬や手術をカラダに施す真意。

病気を止めることは、負担を伴うこと。


特に大きな病気において、現在の医療ではカラダに全く負担をかけずに病気を止めることはできない。

病気をカラダの一部と一緒に切除したり、副作用の大きな薬を使っても治らなかった場合、結果が出るまでカラダへの負担を重ねていくことになる。負担を受けすぎたカラダは耐えきれずに壊れてしまう。

カラダが壊れたら、病気は治せない。


カラダが壊れた状態から、いくら薬や手術で病気を再度止めたとしても、病気を治せるカラダの力が残っていなければ病気は治せない。病気は止めただけでは治らない。患者のカラダが病気を抑え込める力を取り戻さなければ病気は治らない。

治ると思うから、治療を繰り返す。


本来、病気を強制的に止めることは、カラダに負担がかかるため何度も繰り返しできるものではない。カラダが正常な状態であるうちに問題を解決しなければ、どんどん問題解決が難しくなる。しかし、薬や手術の本当の意味を理解していないと、薬や手術をすれば病気が治ると思って、何度も繰り返すことになる。

たどり着くのは緩和ケア


最終的に病気が治らず、病気を止める手段がなくなった場合は、ボロボロになったカラダの緩和ケアをすることになる。治療前の元気なカラダでの生活と、治療後のカラダでの生活との大きなギャップに苦しむことにもなる。

病気を止めたら、自分で治す。


つまり、病気の進行を薬や手術で一度止めたら、その一時的に止まっている段階でカラダの力で治してしまうのがベストである。必要なのは特別なことではなく、運動・食事・睡眠の正しいサイクルとストレスの発散。病気になるまで弱ったカラダを、病気を抑え込むことのできる強いカラダに戻すこと。

病気の進行が緩やかで時間の猶予もある場合は、薬や手術をする前にライフスタイルの改善を取り組むことが望ましい。

治療をやめるのは、あきらめることとは違う。


もし、一回目の治療で治らなかった場合は、さらに治療を重ねることも自身の選択であるが、カラダに負担の大きな薬や手術は、カラダが壊れる前にやめることも一つの選択である。

病気を治すのをあきらめるのではなく、病気を治すことのできる唯一のカラダを守るために、病気を止めることをあきらめるのである。

カラダのケアを治療と同時進行するのが、未来の医療。


現代医療は、病気が治るまでカラダに負担のかかる治療を繰り返し、その治療をすべて行った後に緩和ケアを行うのが一般的。

しかし、本来は病気を治すためには、治療(薬や手術で病気を止めること)と、カラダのケア(弱ったカラダを、病気を治せるカラダに戻すこと)の両方が必要である。

がんの治療と緩和ケアの関係の変化
がんの治療と緩和ケアの関係の変化

参考) がんの治療と緩和ケアの関係の変化
国立がん研究センター がん情報サービス がんの療養と緩和ケア

Column 021 | 2019.05.09