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Column 020 | 2019.05.08

カラダをいじるほど、病状が悪くなる理由。

レントゲン写真を見る女性
レントゲン写真を見る女性

治療をしても数値が下がらなかったり、改善の傾向がみられなければ、患者や医師はどうするだろうか。

いつまで治療すれば治るのか?


もう一度だけ手術をすれば治るのではないか。今回の薬が効かなかったのなら、別の薬を試せば治るのではないか。薬の投与量を増やし、副作用がきつくなっても、それにさえ我慢すれば病気が治るのではないか。

治療するほど病状が悪くなる。


患者も医師も、次の方法なら病気が治ると思って治療を重ねていく。その結果、病気が治る場合もあるが、どんどん患者の病状が悪くなっていくことも少なくはない。

目の前の数値を下げることが目的となり、手術や薬がカラダに与える影響を軽視して突き進んだ結果とも言える。

病気を治すのは、カラダ自身。


本来、手術や薬とは病気のつらい症状や進行を一時的に止めるためのものであり、病気を治すためのものではない。あくまでも病気を治すのは人間のカラダ自身。

治療で弱れば、病気は爆発する。


病気になっている時点で、患者のカラダは非常に弱っている状態であると言える。そのカラダに負担を与え続ければ、弱ったカラダで精いっぱい抑え込んでいた病気が、カラダの抑制が弱まったとたんに勢いが爆発する。その結果、病状が急激に悪くなる。

治療でカラダはおかしくなる。


病状が悪くなるもう一つの理由は、カラダに負担の大きな治療によって、カラダの秩序がおかしくなってしまうということ。

人間のカラダは非常に精密かつ複雑であり、まだよくわかっていないことも多い。よくわかっていないのに、わかったつもりでカラダをいじればいじるほどカラダはおかしくなっていく。

カラダに任せなければ、病気は治らない。


例えば、パソコンの調子が悪い時に、パソコンを良く知らない人が直そうとすれば、たまたま直せる場合もあるが、逆に壊してしまう事もある。普通はパソコンの修理はパソコンの専門家に任せる。

専門家がパソコンを直すことができるのは、パソコンのことをすべて理解できているから。人間のカラダを最も理解しているのは、人間ではなく、人間のカラダそのもの。だからこそ、人間のカラダは、自身を治すことができる。

カラダが壊れてしまう前に。


上手くいくと考えられる治療(手術や薬)をある程度施して結果が得られなかった場合は、カラダが壊れてしまう前に、人間のカラダに病気を治させる方法へとシフトすべきである。もし、時間の猶予があるのであれば、はじめからそうすべきでもある。

いじり過ぎないことも大切。


現代医療は、医療を提供する側も受ける側も、何かを体に施さなければ、病気は治らないと考えているところが大きい。しかし、あえてカラダをいじり過ぎないことも大切なことである。これは、これまでの多くの患者の貴重な体験から学び取らなければならないことでもある。

必要なことはシンプル。


何もしないのに病気が治るのかと思う人もいるかもしれない。けれども、薬も手術も病気を止めることしかできない。あとは、人間のカラダで治すしか方法は無い。

できることは、弱ったカラダを病気を抑え込むことのできる強いカラダに戻すこと。そして、カラダを強くするために必要なことは、運動・食事・睡眠の正しいサイクルとストレスの発散である。

現代医療を変えるのは患者自身。


現代医療に足りないものは、医療を受ける側の自発的な行動であり、その助けによって未来の医療は大きく変わる。

治療を重ね、病状が悪くなれば、最終的には何も手が施せなくなる。そんな患者に残されるのは緩和ケアであるが、緩和ケアの病棟数は年々増え続けている。

緩和ケア病棟数,病床数の推移 グラフ
緩和ケア病棟数,病床数の推移 グラフ

増え続ける緩和ケア施設数
緩和ケア病棟数,病床数の推移。日本ホスピス緩和ケア協会より

Column 020 | 2019.05.08