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Column 019 | 2019.05.07

病気を切除しても、再発を繰り返す理由。

胃の摘出手術
胃の摘出手術

苦渋の決断をしてカラダの一部を切除し、これでやっとつらい病気の苦しみから解放されると思う。しかし、遅かれ早かれ病気を再発してしまう人は少なくない。

もう一度切除すれば治るのか?


再発したのは、病気を全摘しなかったせいだろうか。副作用の強い薬を併用するのを拒んだせいだろうか。担当医が病気を取り損ねたせいだろうか。カラダにメスを入れ、もっと強い薬も飲み、もう一度だけつらい思いを我慢すればその病気は治るのだろうか。

切除は病気の応急処置


カラダを切除するということが病気を治すということではなく、一時的な応急処置であるということをしっかりと理解していなければ、何度でも再発を繰り返し、病気が治ることは無いと言える。

戦略が間違っていれば、病気に勝てない。


間違った認識では、正しい結果を得ることはできない。手術はあくまでも戦術(具体的な戦い方)であり、戦略(大局をみて考えた勝つためのシナリオ)が間違っていれば、いつまでも闘い続けなければならず、最終的には力尽きて負けてしまう。

そもそも病気とは?


病気とは雑草のようなもの。毎日体の中では雑草の芽が吹きだしている。人間が病気にならないのは、いたるところで吹き出す雑草(病気)の芽をカラダのシステムが摘んでいるから。大きくなる前に摘んでいるから病気にならない。

手術は本質的な解決ではない。


もし、カラダの機能が弱っていて病気の芽を摘み損ねたら、その芽はどんどん大きな雑草(病気)へと成長する。手術で取り除いているのは、この大きく成長した雑草を取り除いているとも言える。

いくら雑草を根っこから引っこ抜いたとしても、新たな雑草の芽は次から次へと吹き出してくる。つまり、何度手術をしたとしても、本質的な解決にはならない。手術によって病気が治ったように見えても、それは治ったのではなく、一時的に難をしのいだということ。

人間の身体は、カラダでしか治せない。


病気になったのは、先天的な病気を除き、運が悪かったわけではなく、カラダが弱った結果として病気になっている。これが病気の本質である。つまり、病気になるまで弱り切ったカラダを元の強い状態に戻さなければ、病気に勝つことはできない。

手術で応急処置をしたら、病気を再発させないために病気を抑え込むことのできる強いカラダを作ることが大切。医療を受ける側が本当に成すべきことを成すことによって、はじめて病気を克服することができる。本来、人間のカラダの問題は人間のカラダでしか治せないものである。

医療を受けるだけでは、病気は治らない。


現代医療で治すことのできない病気というのは、ただ医療を受け、身(弱ったカラダ)を任せるだけでは治すことのできない病気である。患者自らの自発的な行動(ライフスタイルの改善)無しに問題を解決することは難しいが、患者のカラダ自身のもつ力をプラスできれば、もっと多くの問題を解決することができる。

未来の医療には、患者の力も必要。


医療を提供する側と受ける側の両方が力を合わせることで、新しい未来の医療が誕生する。

人間
人間

「医師が病を治すのではなく、身体が病を治す」
ヒポクラテスの言葉。彼は医学の父、医聖、疫学の祖と呼ばれる人物であり、「ヒポクラテスの誓い(全9項)」は医学校の卒業式などで宣誓されます。

Column 019 | 2019.05.07