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Column 018 | 2019.05.06

薬を飲み続けても病気が治らない理由。

薬
薬

薬とは何だろうか?この問いに対して正確に答えれる人はいるだろうか。多くの人は、「薬とは病気を治すために飲むもの」と答えるのではないだろうか。

薬をいつまで飲めば治るのか?


年齢が高くなれば、毎日たくさんの薬を飲む人もいる。病気だから薬を飲んでいるのだが、何年も飲み続けている人はとても多い。あと何年飲み続ければ、その病気は治るのだろうか。

病気が治らないのは、薬の量が足りないからだろうか。それとも薬を飲む年数が足りないからだろうか。

薬を飲むことは病気を先送りにすること。


薬が病気を治すものであると考えている限り、薬を飲み続けて病気が治ることは無いのかもしれない。なぜなら、本来、薬は病気を治すためものではないからである。

薬のことをよく理解している医師はこう答える。「薬とは病気のつらい症状や、病気の進行を一時的に止めるためのものである。」つまり、薬を飲み続けていることは、いつまでも病気を先送りにしていることと同じ行為であるとも言える。

薬で病気が治る仕組み。


人によっては、薬を飲んで病気が治ったと言う人もいる。病気のつらい症状や、数値が下がれば、見かけ上は病気が治ったように見えるため、薬で病気が治ったと感じるのである。

しかし、薬はあくまでも病気を一時的に止めているに過ぎない。実際には、薬で病気を止めている間に、人間の体自身が病気を治しているのである。まさか、自分のカラダが病気を治しているとは誰も思っていない。けれども、これが薬で病気が治る仕組みである。

カラダが治せなければ、病気は治らない。


では、薬を飲んで治る場合と、治らない場合があるのはなぜなのか。いずれにしても薬自体に病気を治す働きは無いため、カラダ自身が病気を治せるかどうかの違いであると言える。カラダが病気を治せれば、病気は治るし、カラダが治せなければ病気は治らない。

弱ったカラダでは、病気は治らない。


例えば、薬で治すのが難しい病気の代表例として癌があげられるが、癌とは日々生まれる癌細胞を抑え込むことができないほどカラダが弱ることで生じる病気。つまり、患者は病気を治す力が弱っているため、病気を治すことができないということ。

いくら薬でガンを弱らせたり小さくしたとしても、患者のカラダ自身がガンを抑え込める力を取り戻さなければ、癌という病気そのものが治ることは無いとも言える。これは、癌に限らず、先天性の病気を除いた多くの病気に共通して言えること。

病気を止めても、病気は治らない。


結局、薬とは病気を一時的に止めるためのものであり、病気を止めることに注目(フォーカス)している限り、薬を飲み続けても病気は治らないと言える。

症状がつらい場合や病気が急激に進行している場合は、一時的に薬で症状や進行を止めることは必要なことだが、病気を止めただけでは病気は治ることはない。必要なのは、止めた病気を治すことのできる強いカラダを作ること(取り戻すこと)。

病気とは自分自身で克服するもの。


病気を例えるなら、坂道を転がり落ちる大きな鉄球のようなもの。ゆっくりと転がり始めた鉄球を止めるのは簡単だが、加速がつくほど鉄球を止めるのは難しくなる。

何度か薬で鉄球を止めることはできても、その鉄球を受け止めて押し返す力がなければ、いずれ鉄球につぶされてしまう。

未来の医療は薬を飲むだけではない。


医療を受ける側が、病気を治すということの本当の意味を理解することで、現代医療は大きく飛躍する。薬の力だけでなく、人間のカラダの力を合わせて病気を治すことが未来の医療のスタンダードとなる。

「薬が病気を治す」という現在の概念を新しいものに変えなければ、これからも新しい病気が生まれるたびに新しい薬を作り続けなければならない。

薬の銘柄数
薬の銘柄数

これまでに作られた薬の数。
出展:薬価基準収載医薬品の銘柄数 Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療)vol.41 no.7 2013

Column 018 | 2019.05.06