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Column 016

ストレスを放置すると病気になる理由。

ストレス
ストレス

Introduction -導入-

日々のストレスは、人間の健康を崩したり、病気になる非常に大きな原因と言えます。しかし、ストレスには人間にとって必要な急性ストレスと、そうでない慢性ストレスが存在します。

健康を維持できるように、将来病気にならないために、ここでは、ストレスの本質と対策について考察していきます。

ストレスには2種類ある。

一般的にわかりやすいストレスの分類は、肉体的なストレスと精神的なストレスですが、もっと大きな概念で考えた場合、急性ストレスと慢性ストレスに分類できます。

急性ストレスと慢性ストレス
急性ストレスと慢性ストレス

どのようなストレスであっても、短期的で適量であれば問題となることもなく、むしろカラダや日常生活(人生)にとって良い影響をもたらすこともあります。問題となるのは長期的にストレスを受け続けた場合です。

急性ストレスとは?

急性ストレスは、短期的に受けるストレスのことであり、身体機能を向上・維持するために必要なものであったり、カラダの損傷個所や危険レベルを知らせるものであったり、生きるために必要な行動を促すものとなるものであり、人間にとって必要なストレスであると言えます。

例えば

・寒い、暑い。
・お腹がすいた。
・運動による疲労。
・筋肉痛。
・怪我をして痛い。

慢性ストレスとは?

慢性ストレスは、長期的にかかり続けるストレスであり、カラダに悪影響をもたらすものです。多くの場合、本来人間が自然界で生きる上で特別必要ではないストレスであるとも言えます。

例えば

・人間関係のストレス
・お金のストレス
・過去への後悔
・日常の不満
・未来への不安
・病気で体がずっと痛い。
・残業が長期化している。
・仕事に行きたくない。
・忙しくて休みが取れない。
・睡眠時間がずっと少ない。
・闘病のストレス

急性ストレスと慢性ストレスの違い。


文字通り受けるストレスが短期的(急性)なものであるか、長期的(慢性)なものであるかが違いになります。

急性ストレスの場合は、暑ければ服を脱げばいいし、寒ければ服を着たり暖を取ればいい。お腹がすけば食事をすればいい。運動で疲れたら休めばいいし、怪我は治せばいい。筋肉痛も休めば治る。

急性ストレス(自分で解決できるもの)
急性ストレス(自分で解決できるもの)

つまり、急性ストレスとは、自分自身の行動によって問題が解決するか、時間の経過によって自然に問題が解決してしまうストレスということになります。だから、ストレスが慢性化することなく短期的です。


一方、慢性ストレスの場合は、人間関係が嫌でも付き合わなければならないこともあるし、簡単に人間関係を変えることもできない。お金に関する問題も、頑張っていても簡単には解決しない。仕事を休みたいと思ったり、会社に行きたくないと思ったとしても生活のために働かなくてはならない。自分自身が嫌なこと(ストレス)を慢性的かつ強制的に受け続けている状況です。

慢性ストレス(自分で解決できないもの)
慢性ストレス(自分で解決できないもの)

つまり、慢性ストレスとは、自分自身の行動によって問題を解決することができない、もしくは時間が経過してもなかなか問題が解決しないストレスということになります。だから、ストレスが慢性化してしまいます。

現代人に多いのは、慢性ストレス?


自然の中で生活する場合に、動物が受ける多くのストレスは急性ストレスに分類されます。逆に、人間社会で生活する私たちは、慢性ストレスを非常に多く受けていると言えます。

慢性ストレス(自分で解決できないもの)
慢性ストレス(自分で解決できないもの)


自然界と人間社会では、受けるストレス自体が真逆の環境です。私たちは、生活を便利に快適にするために、自然界に存在した様々な急性ストレスを無くしていきましたが、その代わりに慢性ストレスを増やす複雑な社会を作り上げてしまったと言えます。

私たちは、 自分たちで作った自然界には存在しない秩序やルールに苦しんでいます。

本来、動物は慢性ストレスに弱い生き物?


自然の中で生活する動物たちは、長い年月をかけ進化してきました。自身の置かれた環境を優位にできるようにカラダを発達・適応させてきています。

自然界に多い急性ストレスのような短期的なストレスには耐えることができるようにカラダは適応しています。一方、ほとんど受けることのない慢性ストレスには耐性ができていないと言えます。

動物は急性ストレスに強く、慢性ストレスに弱い。
動物は急性ストレスに強く、慢性ストレスに弱い。

自然界の動物たちが慢性ストレスを受け続けてきていれば、それに対する耐性はできますが、ほとんど受けないものであれば耐性のできようがありません。本来は、人間も他の動物と同様に、慢性ストレスに弱い生き物です。

慢性ストレスで生じるカラダへの悪影響。


慢性ストレスによってカラダの機能(システム)が正常に機能しなくなることによって様々な悪影響が生じます。日常的な健康問題から始まり、将来の大きな病気へのリスクも高くなります。

動物は急性ストレスに強く、慢性ストレスに弱い。
動物は急性ストレスに強く、慢性ストレスに弱い。

日常的な健康問題

カラダが正常に機能することで健康を保てている以上、慢性ストレスによりその前提が崩れれば様々な問題が生じます。遺伝的もしくは先天的な場合などを除き、ほとんどの健康問題に影響を及ぼします。

慢性ストレスにより生じる健康問題
慢性ストレスにより生じる健康問題

将来の病気リスク

カラダには病気の原因を取り除くシステムが備わっています。そのおかげで毎日体内で生まれる病気の源は除去され、大きな病気に成長することを防いでいます。つまり、慢性ストレスによりカラダのシステム自体が弱ってしまえば病気から守り切ることができないということになります。

慢性ストレスにより生じる将来の病気リスク
慢性ストレスにより生じる将来の病気リスク

現代人を悩ます主な病気は、ガン、心臓病、脳血管疾患、肺炎ですが、それらはカラダの機能低下そのものが原因と言える病気です。つまり、慢性ストレスとは、現代人の病気の根本的な主要原因の一つとも考えられます。

現代人の三大死因 出典:厚生労働省 平成23年人口動態統計月報年計より

慢性ストレスの本質とは何か?


慢性ストレスとは体を緊張状態に導くもの。

慢性ストレスによって、カラダの機能(システム)が正常に働かなくなることにより様々な健康問題が生じます。つまり、慢性ストレスとは、平常時の状態から、本来のカラダの状態とは異なる状態(緊張状態)へ導くものであるということが言えます。

動物は急性ストレスに強く、慢性ストレスに弱い。
動物は急性ストレスに強く、慢性ストレスに弱い。

ストレス状態では、眠れないし、疲れはとれない。

カラダは平常時(ニュートラル)な状態で始めて様々なカラダの機能を正常に機能させることができます。そのため、慢性ストレスを受け常にカラダが緊張状態である場合、眠れる状態でないため夜眠れなくなることもあれば、何もしていないのに疲れやすかったり、寝ているはずなのに疲れが取れなくなったりします。



ストレスの量や大きさは関係ない。

ストレスを受けたからといってすべてがストレスに変わるわけではありません。起きた出来事を本人がストレスに感じることで始めてストレスになります。

慢性ストレスにより生じる健康問題
慢性ストレスにより生じる健康問題

例えば、大変な仕事をしていても、その仕事をすることが好きであるならばストレスにはならず、逆に嫌いな仕事であれば大きなストレスになります。つまり、ストレスかどうか判断しているのは、そのストレスを受けた本人の思考によるものであると言えます。



ストレスは繰り返し考えることで膨み慢性化する。

出来事に対して「嫌」という感情が生じることでストレスになりますが、それは一瞬のことであり、その後に考えなければ時間とともに忘れていきます。しかし、何度も何度も思考を繰り返すことでストレスは定着し慢性化していきます。思考そのものによりストレスは増幅されるものであると言えます。

慢性ストレスにより生じる将来の病気リスク
慢性ストレスにより生じる将来の病気リスク

例えば

・もし~になったらどうしよう。(将来への不安)
・あの時ああしておけばよかったのに…(過去への後悔)
・周りの人からどう見られているだろうか…(心配)
・もっと給料が高ければなぁ…(現状への不満)

このような、何度も繰り返し考えることを反芻(はんすう)思考と言います。

本来、人間は、ネガティブに考える生き物?


日常の中でネガティブに考える経験は誰にでもあると思います。しかし、これは人間の本能的なものであるとも考えることができます。

太古の地球
太古の地球

過酷な自然界で生き残っていくためには、様々な危険を予測し、最悪の事態を想定して行動することが求められます。そのような環境に適応する中で自然に身についた能力が、ネガティブ思考とも言えます。

つまり、ネガティブに考えてしまう事自体は、悪いことや責めることでもなく、人間の自然な現象であると認識することが大切です。

慢性ストレスの対処法の基本的概念。


慢性ストレスは、根本原因を自分自身で解決できないから慢性化しているのであり、すぐに解決することは非常に難しいと言えます。また、最終的には自分自身で解決していかなければならないものです。

ここでは解決法ではなく、必要な対処法について考えます。対処法と言っても、簡単に言えば、「ストレスを発散しよう」ということになります。

思考を制御する+カラダの緊張緩和=ストレス発散
思考を制御する+カラダの緊張緩和=ストレス発散

思考を制御する。
(ネガティブ思考を意識的に中断させる)

慢性ストレスは、ネガティブ思考により形成されるものであるため、ネガティブ思考そのものをしないことが対処法になると言えます。しかし、人間の本能的にネガティブ思考をし始めること自体は避けることができません。

そこで、頭でネガティブ思考を始めた初期段階で、その思考を中断する(別のことを考える)か、もしくはネガティブ思考を継続することができない状況を強制的に作り出す必要があります。

例えば

・いつでも上機嫌でいる。
・運動する。
・趣味に没頭する。
・本を読む。
・断捨離する。 など



カラダの緊張を緩和させる。

慢性ストレスは、カラダに平常時とは異なる緊張状態をもたらすものです。簡単に表現すれば、カラダがカチカチに固まっている状態です。固まったカラダをほぐしてあげることでカラダは平常時の状態に戻ります。自分自身がリラックスするような事であれば、概ねカラダの緊張を緩和させる効果のあるものであると言えます。

例えば

・運動する。
・ストレッチする。
・お風呂に入る。
・穏やかな音楽を聴く。
・友人と話す。  など

慢性ストレスの変則的対処法。


基本的には、カラダに良くないことで慢性ストレスを発散することは推奨できるものではありません。しかし、多少カラダに悪いことでも、それによってストレスが発散できるのであれば、その方がストレスを溜め続けるよりもカラダには良いと言えます。

例えば

・タバコを吸う。
・おいしいものをたくさん食べる。
・お酒を飲む。
・お菓子やジュース。


その他、人によりストレスの発散法は様々ありますが、自分自身で良くないと思うことは適量かつ低頻度で上手に利用することが大切です。

おすすめの対処法ベスト3。


基本的には自分の中で一番ストレスを発散できると考えるものを行うことがベストと言えます。

多くのストレス発散の方法は、ストレスを一時的に発散してくれますが、ただそれだけで、何も現状が変わることはありません。ここでは、ストレスを発散できるだけにとどまらず、カラダにとって良い効果があったり、その他にもメリットがある方法として以下の対処法を推奨します。



1.運動する。

何か一つだけしかストレスの発散法が選べないとしたら、それは運動になります。運動ほど人間のカラダにとって万能なものはありません。

ストレスを発散できるだけでなく、幸福感や達成感が得られることで精神が安定したり、身体機能の向上により健康問題が解決したり、病気になりにくい体になるなど、その恩恵は計り知れないものがあります。

運動する女性
運動する女性

また、運動により得られる大きな効果は、見た目のカラダの変化にあります。何か努力をした時に変化(報酬)を感じられることで努力を継続することができます。

自分の身近なものであればあるほど、いつでもどこにいても変化を感じ取りやすく、最も身近な存在とは自分自身のカラダです。健康的で美しく引き締まったカラダでいるだけで常に気分が良くなります。



2.断捨離(不要なものを捨てること)。

私たちの周りにはモノがあふれすぎ、それにより受けるストレスは意外に多いものです。いらないものを捨て、必要なモノや自分が好きなものに囲まれる環境を作り出すことで常に気分の良い状態が作り出されます。良い気分でいること自体がストレスの発散につながります。

常に、不要なものはないかと思考することによって、これまで日常の中でネガティブな思考をしていた時間を減らすことができます。モノが減るたびに自分の周りの環境も変化するため、ただストレスを発散する以上のメリットがあります。

断捨離するモノの変化
断捨離するモノの変化

断捨離は、ただモノを捨てるという行為ではありません。ある程度の断捨離が進むと捨てるものがなくなってきます。そうすると捨てる対象はモノ以外のものに変わり始めます。

不要な出費、不要な人間関係、不要な考え方、無駄な時間、悪い習慣など、日々のストレスの根本原因となるものを捨て、それらから解放されることによって結果的に大きなストレスの発散につながります。



3.上機嫌法。

上機嫌法とは、常にニコニコしながら、良い気分でいることです。慢性ストレスを受けている状態で、なかなか笑顔でいることは難しいことですが、これができれば、日々の些細なストレスをストレスと感じないことによって、余計なストレスの発生自体を防ぐことができます。

例えば日常の中で、考えることがトゲトゲしくなる時とか、むしゃくしゃして何でもかんでもケチをつける時とか、他人の中にも自分の中にももはや何一つ美しいものが見いだせない時とか。考えがこういう方向に向いた時が上機嫌法が必要な時と言えます。

要するに、不運に見舞われたときや、相手に嫌な言葉を浴びせてしまうようなくだらない事柄に出会った時に、上機嫌に振舞うということです。

何が起きても、いつもニコニコ。
何が起きても、いつもニコニコ。

ストレスとなる出来事に出会った時に、はじめは上機嫌に振舞うことが難しいものでも、上機嫌法を継続し慣れてくると、今まで大きかったストレスがだんだんと小さなものに感じれるようになってきます。ちょうど、坂道をのぼるおかげで足が強くなるのと同じような感覚です。

上機嫌法のためには、はじめは人間でなくてもモノでも良いと言えます。焦げ付いた朝食のパン、カンカン照り、すごい埃、支払いの終わっていない請求書、ほとんど空っぽの財布など、これらが貴重なトレーニングになります。

また、上機嫌法は、ただ本人のストレスが発散されるだけでなく、人間関係にも良い効果を発揮します。誰でも、怒りっぽい人や機嫌の悪そうな人とは関わりたくなく、いつもニコニコ笑顔でいる人のところに人は集まり、人間関係もスムーズにいきます。まさに、昔から言われる「笑う門には福来る」と言えます。

まとめ



ストレスは、人間が病気になる最大の原因だから。


できるだけ毎日楽しく、
幸せに生きよう。



ストレスの発散を最優先に。

健康を意識し、運動や食事に気を使っているのに病気になる人もいれば、好きなものを食べ、それほど運動をしていないのに健康な人もいます。健康と言えば、運動や食事に重点が置かれますが、最も健康を邪魔しているのは日々の慢性ストレスであるとも考えられます。

当然、運動や食事に気をつけずに健康を維持できるというわけではなく、それほど慢性ストレスがカラダに与える影響は大きいということになります。