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第二章| ソフィβ-グルカンのすべて

2. ソフィβ-グルカンの研究の歴史

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ソフィβ-グルカンの歴史年表(1977年-)

黒酵母(アウレオバシジウム プルランス)とソフィβ-グルカンの研究のスタートは1977年
黒酵母(アウレオバシジウム プルランス)とソフィβ-グルカンの研究のスタートは1977年

1977年

宮崎大学農学部の藤井昇博士らが、原糖中から優れた多糖生産能力を有する菌株を発見し、アウレオバシジウム属であると同定した。
宮崎大学工学部において、菌株の産生物の化学構造を調べたところ免疫賦活作用の高いβ-1,3-1,6-グルカンであることも判明した。

1981年

国立がんセンター内「ガン研究会」の依頼で、アウレオバシジウム培養液(黒酵母β-1,3-1,6-グルカン)を抗腫瘍(制ガン)性物質として米国NSCに提供し、登録される。

1989年

アウレオバシジウム培養液(黒酵母β-1,3-1,6-グルカン)の研究により、藤井昇教授が第25回宮崎日日新聞科学賞を受賞。

1991年

1981年、発見したアウレオバシジウム菌株とβ-1,3-1,6-グルカンの特許を申請し、この年特許を取得。

1996年

アウレオバシジウム培養液が、厚生労働省より食品添加物として認可を得る。これにより広く食品として人が摂取できるようになった。

既存添加物名簿収載品目リスト 番号1

2000年~

九州保険福祉大学教授の池脇信直医学博士との共同研究により、これまで知られていなかったアウレオバシジウムの人体に対する機能性が続々と、報告されている。

2003年

酵素を用いることにより、業界で初めてβ-1,3-1,6-グルカンの正確な含有量が測定可能となる。

特許(第5467251)

2005年~

ソフィβ-グルカンの学術名で各種学会で発表され始める。

2009年

健康食品として商品が販売される。

2009年

産・官・学連携により公的医療機関において、高齢者ならびに担癌患者に対して臨床試験を開始。2年4か月間試験は実施されます。

高知大学と土佐市の連携協定に基づき、高知大学医学部付属病院と土佐市民病院にて実施されています。臨床試験の内訳はたんがん以下の2項目。〇「担がん患者に対するソフィβ-グルカン経口摂取による免疫賦活効果の検討」〇「高齢者に対するソフィβ-グルカン経口摂取による免疫賦活効果の検討」

2014年

2009年から実施されたソフィβ-グルカンの臨床研究の成果が、第29回日本静脈経腸栄養学会において評価され、フェローシップ賞を受賞する。

演題名「黒酵母β-グルカン経口摂取による高齢者ならびに担がん患者に対するNK活性への影響」


ソフィβ-グルカンの研究の歴史

ソフィβ-グルカンの研究の出発点としては、1973年頃に、製糖工場が粘質化した砂糖の成分分析を藤井昇博士に依頼したことから始まります。調査の結果、黒酵母(アウレオバシジウム属)の混入が原因であるとわかります。

最初は、水をキレイにするための水処理を目的として研究は進みますが、培養条件によっては、免疫賦活作用のあるβ-1,3-1,6-グルカンを産生することがわかり、機能性食品としての研究へと移っていきます。

健康食品として製品化するために毒性試験が実施され、1996年には厚生労働省で安全性も確認され、既存食品添加物としての認可も受けます。

2005年から、黒酵母(アウレオバシジウム)の産生したβ-1,3-1,6-グルカンは、「ソフィβ-グルカン」という学術名称により多くの研究成果が各種学会で発表されるようになります。

2009年には、ソフィβ-グルカンは健康食品として販売されるようになります。それと同時に、薬にするための臨床試験を実施することになります。約2年半にもおよぶ臨床試験は終わり、その研究成果は高い評価も受けることになります。

ソフィβ-グルカンは、医薬品としての臨床試験に合格しており、本来であれば薬としての認可を受けることが許されたものです。しかし、厚生労働省が安全性を立証していたため、医薬品にしない選択肢も与えられたものです。

最終的には、ソフィβ-グルカンは薬にせず、これまで通り一般消費者が購入することのできる機能性食品としての道を選ぶことになります。医薬品レベルの機能性と食品としての安全性をあわせもつ特殊な成分が誕生することになりました。