菌だから免疫系が活性化する。
悪さをしない体内の常在菌といっても菌であり、カラダにとっては本来は病原体の一つとして認識されるものです。そのため、カラダは菌を除去しようとして免疫系を自然に活性化します。
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序章|免疫サプリメントについて
3. 様々な免疫サプリメント
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悪さをしない体内の常在菌といっても菌であり、カラダにとっては本来は病原体の一つとして認識されるものです。そのため、カラダは菌を除去しようとして免疫系を自然に活性化します。
同じ乳酸菌でも、ヨーグルトの乳酸菌と、実際に身体の中で一緒に暮らしている乳酸菌(共生細菌)は少し違います。免疫は自己ではないものを攻撃・除去する機能ですが、自分のそばにあって危険でないものは攻撃しないで受け入れる性質があります。これを寛容と言います。
グラム博士が開発した染色方法(グラム染色)で、紫色に染色されるものをグラム陽性菌、紫色に染色されないものをグラム陰性菌と言います。世の中の菌を2種類に大別するための染色方法です。
多くの場合、大腸菌やピロリ菌などのグラム陰性菌は病原性が高く、乳酸菌などのグラム陽性菌は病原性は低く体内で共生するものもいます。
人間のカラダは、目視で病原体を認識しているのではなく、その病原体の特徴的なカタチ(立体構造)で認識しています。
乳酸菌などのグラム陽性菌の場合は、その細胞壁がペプチドグリカン層でできています。そのペプチドグリカン層の中には、リポタイコ酸やタイコ酸と呼ばれる成分も細胞壁の構成要素としてあります。
このようなグラム陽性菌の細胞壁の、ペプチドグリカンやリポタイコ酸を、体内の腸管上皮細胞や、様々な免疫細胞が病原体として認識します。
ペプチドグリカンやリポタイコ酸のような病原体に特徴的な立体構造を、病原体関連分子パターン(PAMPs)といい、PAMPsを認識する免疫細胞表面などにある受容体のことをパターン認識受容体(PRRs)と言います。ちなみに、ペプチドグリカンやリポタイコ酸は、TLR2という受容体で認識されます。
乳酸菌を摂取しても、ほとんどは胃で死滅してしまいます。しかし、その菌の死骸であっても、菌の細胞壁は病原体として認識され、免疫系が活性化すると言えます。
昔から食経験があるため、安全性の面では信頼できるものです。また、世界的に研究されている分野であることも安心ができます。
一方、デメリットとしては、乳製品であり乳糖が含まれるため、お腹を壊したりして、人によっては合わないこともあるということです。
離乳後は、ほぼ例外なく哺乳類は乳糖を分解する酵素の活性が落ちます(本来は、成人になって乳を飲むことはなく、飲む必要性もないため。)。分解できず濃くなった乳糖を薄めるために腸管から水が染み出し、下痢をすることになります。
また、日々の健康維持ではなく、病気の治療目的で多量摂取したい場合は不向きです。簡単に言えば、ヨーグルトを何キロも食べることは大変であり、量が増えれば増えるほどお腹を壊すリスクは高くなるからです。
腸内には様々な菌(善玉菌や悪玉菌)が生息しています。善玉菌の割合を増やすことで健康増進するという仮説が唱えられています。
しかし、その仮説を否定するものや、関連性が無いとする研究結果が複数報告されており、結論が出ていないのが現状です。
その人の生活習慣やストレスなどの影響により、健康からずれた結果として、悪玉菌の割合が増えているのであり、善玉菌の割合を強制的に増やせば、健康に戻るというのは、少し安易な考えなのかもしれません。
例えるなら、片付けのできない子の部屋をキレイに片づけても、時間が経てば、また散らかった部屋に戻ることと同じです。部屋をキレイにしてあげたからといって、子どもが片付けができる子になるとは限りません。
また、生きて腸まで届く乳酸菌は、腸に住み着き増殖することは無いということもわかっており、現状では、たくさん飲んでも、強制的に善玉菌の割合を変えることは非常に難しいと言えます。
もし、ヨーグルトで健康になっているとすれば、それは自身の免疫力の向上に由来するものであるのかもしれません。