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序章|免疫サプリメントについて
2. 免疫サプリメントのメカニズム
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Introduction -導入-
前回では、免疫サプリメント(免疫賦活成分)は病原体に良く似た形をしているため、体に病原体と誤認されることで、免疫力を自然に上げることができるとお話しました。
では、カラダはどうやって免疫賦活成分を病原体と認識しているのでしょうか?
免疫力が上がる大まかな流れをおさらいすると、以下の通りです。
免疫賦活成分は、ウィルスや細菌などの病原体に立体構造が似ているため、カラダは病原体の侵入と「誤認」します。
「病原体が侵入した!」と思い、体が免疫力を自然に上げてくれる。
実際には病原体はカラダに入ってはいませんが、体が病原体の侵入を誤認することで、免疫力を間接的に上げることができます。
私たちのカラダは、様々な細胞により構成されています。その一つ一つの細胞の表面には、受容体(レセプター)と呼ばれるものがたくさんあります。これにより様々な種類の病原体を認識しています。
受容体(レセプター)とは、人間でいうところの目、耳、鼻といったセンサーの役割をするもの。
受容体に病原体(免疫賦活成分)が接触すると、「病原体がカラダに侵入した!」という信号がシグナル伝達されます。その後、病原体侵入の情報が、免疫細胞などで共有されたり、免疫細胞が活性化されることで、最終的に免疫力が上がるという事になります。
病原体特有の一群の立体構造をPAMPs(病原体関連分子パターン)と言います。逆に、PAMPs に対応する受容体をPRRs(パターン認識受容体)と言います。
PRRs(Pattern recognition receptors:パターン認識受容体)としては、 TLR(トールライクレセプター:トル様受容体)、Dectin1(デクチンワン)、CR3(シーアールスリー)などが報告されています。PAMPs(Pathogen associated molecular patterns:病原体関連分子パターン)としては、細菌由来のリポタンパク質や、リポ多糖(LPS)、ペプチドグルカン(PGN)、リポアラビノマンナン(LAP)、リポタイコ酸(LTA)などがあります。
本来、病原体は、特有のPAMPsをもつ。
病原体の表面には、その病原体に特徴的な立体的な分子パターン(PAMPs)があります。
このPAMPsを、人間のカラダの様々な細胞の表面※にあるPRRsで認識することで、病原体の侵入を認識しています。
※TLR9など細胞表面には無い受容体も存在します。
免疫賦活成分は、その分子構造の中にPAMPsに良く似た立体的な構造をもつために、カラダは免疫賦活成分をPAMPs(病原体関連分子パターン)として認識します。
様々な病原体に応じて様々なPAMPsがあるように、その受容体であるPRRsもたくさんあります。そのため、PRRsに認識される免疫賦活成分もたくさん存在するという事になります。
人間の細胞の表面に存在する受容体は、細胞の種類によって異なります。そのため、免疫賦活成分の構造や分子量によっても、認識される細胞が異なります。
例えば、免疫賦活成分Aは、細胞1と2のPRRsで認識されますが、免疫賦活成分Bは、細胞3のPRRsで認識されます。
免疫賦活成分の立体構造の違いによって、認識される細胞も異なります。
免疫賦活成分は、その立体構造によって、認識される受容体(PRRs)も違えば、認識される細胞自体も違います。
人間の腸は、「人体最大の免疫器官」と言われます。腸は栄養の吸収とともに病原体が「真の体内※」に侵入しやすく、それを防ぐために様々な免疫細胞が集まっています。
※体内といえば、胃や腸ですが、実はそれは体内ではありません。口から肛門までを長い一つなぎのトンネルとすれば、人間のカラダはまるでチクワのような構造をしています。トンネルの外側から皮膚までの間が本当の体内と言えます。
様々な病原体が腸内で認識されるように、免疫賦活成分も腸内の腸管上皮で様々な細胞に認識されます。
無数の腸管上皮細胞で作られた外壁の内側には、様々な免疫細胞が存在しています。上皮細胞の外壁を突破した病原体を除去するために免疫細胞は待機しています。
様々な細胞が複雑に連携しあい、免疫システムが賦活される。
免疫賦活成分は、その立体構造の違いによって、①腸管上皮細胞のPRRsに認識されたり、その内側に待機している免疫細胞(②マクロファージや③樹状細胞など)のPRRsにも認識されます。
細胞間でサイトカイン※を使用し情報伝達を行い、複雑な経路を経て、様々な形で免疫システムが活性化されます。
※細胞同士が情報伝達(シグナル伝達)に使用するタンパク質。サイトカインには、インターフェロン(IFN)やインターロイキン(IL)などがあり、その中にも様々なものがあります。
腸内の様々な細胞に認識されて、免疫力が向上される。
細胞にはそれぞれ固有の働きがあります。免疫賦活成分が、どの細胞の受容体に認識されるかで、その後の細胞の動きも違います。それによって、免疫向上の強さのレベルが異なると言えます。
活性化された免疫細胞が、他の免疫系も活性化していく。
マクロファージ、NK細胞、樹状細胞などの「自然免疫系」が活性化されることで、B細胞による抗体や、キラーT細胞(CTL)といった「獲得免疫系」も活性化されていきます。
例えるなら、自然免疫は「警察」、獲得免疫は「軍隊」に例えることができます。
基本的には、警察で問題を解決しますが、それが無理な場合は、軍隊を動かしてもらうよう要請することになります。
免疫賦活成分が病原体として受容体に認識されることは、鍵と鍵穴の関係に似ています。
見た目にはよく似ている鍵でも、ほんの少しカギ山が異なるだけでカギは回らなくなってしまいます。
同じ種類の商品でも、効果があったり、無かったりするような違いが出るのはこのためです。
免疫サプリメントは、様々な細胞によって病原体と認識されることで免疫システムを作動させ、その結果として免疫力が向上するという事になります。
しかし
本当に免疫を上げるのかは、結局ヒトで試さないとわからない。
免疫サプリメントの商品は世の中にたくさんありますが、すべてが実際に免疫力が上がることを確認しているわけではありません。
単に「免疫力を高める今話題の成分がこんなに含有されています」という商品と、「実際の商品をヒトで試験して本当に免疫力が上がりました」という商品では全く意味が違います。
ヒトで立証されなければ、それは机上の空論です。
本当に選ばなければならない商品とは?
あなたが実際に口にする「商品そのもの」を使って、安全にヒトで免疫力が高まることが立証されたものと言えます。