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食事 ー 命そのものを食べる。

p. 90( p.85 - 93 )




最後に、食というものを生産者の立場から考えてみると、どうなるでしょうか。

まず、売れるものを作ることになるわけですが、人間が好きなものというものは、糖分や油分の多いものになります。

糖分や油分の多いものを欲するというのは、人間の本能的な欲求であるとも言えるため、そういうものというのは、たくさん売れて当然とも言えます。

ただ、糖分や油分が多いという事は、当然太りやすいし、病気の原因の一要因にもなります。

しかし、生産者としては、売れる確立の高いものであるので、消費者のことは関係なく、当然売ろうとするのではないでしょうか。

ある程度売れてくると、今度はコストを削減して、もっと利益を上げたいなと考えるようになります。

例えば、商品に含まれる糖分の代わりに、より安価な人工甘味料などを添加するようになります。

コストを下げるために、どんどん安い材料に変えていきます。

また、ライバル商品よりも価格を下げたい、もっとコストを下げたいと思うと、大量生産をするようになります。

商品は、たくさん作れば作るほど安くなるわけですが、賞味期限の短い商品の場合、その短い期間の間に大量に売らなければならないことになるため、非常に売るのが大変になります。

一方、賞味期限が長い商品の場合は、在庫を捌く期間が長くなるため、ロスも少なくなるし、流通の面など、様々な意味で販売に余裕が生まれます。

そのため、大量に作ろうと思えば思うほど、賞味期限を長くしたいと思います。

本来、自然界の食材というものは、すぐに腐ってしまうものです。

腐らせないためには、塩分や糖分の濃度を異常に濃くしたり、人工の添加物を使用せざるを得ないことになります。

ただ、先にも述べたことがあるように、自然界には存在しない状態のものや人工の化合物というのは、病気になるリスクがあったり、発がん性リスクがあったりと、何かしらの将来リスクを含みます。

つまり、何が言いたいかというと、生産者が利益を追求すればするほど、どうしても体に良くないもの(自然界とはかけ離れたもの)になってしまう傾向があるという事です。

そして、体に良くないもの(自然の状態とは異なるもの)を体に入れ続けていれば、当然太ったり、健康を害し病気になりやすくなったりもします。

そうなると、消費者は誰でも健康になりたいと思うし、健康を意識するようになります。

このような人たちに向けて、今度は、健康に良い商品が作られるようになります。

世の中には、健康になれる商品があふれることになるわけですが、先にも述べたように、人間が作った健康になれる商品だけでは健康にはならないことを歴史が証明しているとも言えます。

やはり、食に関しては、本来の自然界の食材を食べる方が健康になれる可能性が高いと言えます。

ところが、自分たちで作ったもので健康になろうとし、健康的な食事の基本をおろそかにし続けていれば、いつまでも健康にはなれないのかもしれません。

まだ、人類の知識レベルでは、自然界が作った食材よりも健康になれるものを作ることができていないとも言えます。

また、人間が作った糖分や油分の多い美味しいものを好きなだけ飲食し、それを無かった事にしてくれるようなものを作れるほどのテクノロジーを人類はまだ手にしているわけでもありません。

結局、人間が健康になれると謳って作ったものをいくら食べ続けても、基本となる毎日の食生活が不健康(自然界とかけ離れた状態)のままであるのであれば、健康にはなり得ないとも言えます。

ところが、消費者は、健康になれると言われているものを、ずっと買い続けてくれます。

なぜなら、世間で健康にいいと言われるものを食べることが健康になることであると思い込んでいるからです。

もっと言えば、そう思い込まされているとも言えます。

それは、そう信じ込ませれば、商品を買ってくれるから…。

どんな商品も、どうすれば…、どう言えば…、消費者が何度も何度も買ってくれるかを考えて商品は宣伝されていきます。

でも、それでは健康にはならない…。

しかし、それで健康になれると思っているから、いつまでも消費者は商品を買ってくれる…。

生産者にとっては、ほぼ永遠に利益をもたらしてくれるため、もはや完璧なシステムとも言えます。

これは、生産者が狙って作ったシステムというわけではなく、資本主義というシステムの中で自然にこうなったのかもしれません。

だからこそ、健康を目指すのであれば、人間の手を加えて作った商品は適度に楽しむ程度にして、自然の状態のままの未加工の「食材」をメインに、自分で料理して食べておいた方がいいと言えます。

では、この自然の状態のままの「食材」というのは、本当に自然なのでしょうか。




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